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GoogleのAI回答への対価は約100社のみと報道、SEOは「引用される情報」が軸に

画像はAIで生成したイメージです

3行でわかる

  1. Googleが対価を払うのは約100のデジタルパブリッシャーで、額は数か月で1,000ドル未満の例も
  2. 支払いはSearch Console上の試験的な仕組みで、回答への貢献度で決まるが計算式は非公開
  3. AI要約が出ると検索結果のクリックは約半分に減るとの調査もあり、対価より流入減の影響が大きい

GoogleがAI Overviews(検索結果の上に出るAI要約)やAI Mode、Geminiで使ったコンテンツへの対価を払っている相手は、約100のデジタルパブリッシャーにとどまると米The Informationが現地時間9月29日に報じました。中小のブログやサイトでは、支払額が広告収入の0.1%未満だといいます。

何が起きたか

支払いの仕組みは、Search Console(Googleがサイト運営者に提供する管理ツール)上の「AI contribution pilot」です。米Digidayが9月14日に詳しく報じ、Googleも初期段階の試験的な取り組みだと認めました。招待制で、参加者はいつでも抜けられます。

対価が発生するのは、コンテンツがAI回答の生成に大きく貢献したときです。回答ができた後にリンクとして添えられただけでは対象になりません。Googleは、生成AIの回答を新しく正確に保つ材料を持つサイトと組む新しい形を試している、と説明しています。

The Informationが関係者の話として伝えた内容は次のとおりです。

項目 報道された内容
対象 約100のデジタルパブリッシャー
小規模サイト 数か月で1,000ドル未満
大きい例 数か月で5万〜6万ドルの社、年100万ドル超の社
中小サイトの水準 広告収入の0.1%未満
稼ぎやすい分野 アニメやゲームなど熱心な読者がいるニッチな話題

参加者の一部は計算方法がわからず、月ごとの金額が説明なく変わると話しています。管理画面に出るのは月ごとの収益額と履歴だけで、どのページが稼いだかは見えません。大手の一部は、単価の引き上げを求めて参加を見送っているとも報じられました。

背景

パブリッシャーが対価を求める背景には、AI回答による流入減があります。米Pew Research Centerが2025年3月の米国成人900人の閲覧データを分析したところ、AI要約が出た検索で通常の検索結果がクリックされたのは8%でした。AI要約が出ない検索の15%のほぼ半分です。要約の中のリンクが押されたのは1%にとどまりました。

Googleは2025年8月の公式ブログで、検索からサイトへの自然クリックの総数は前年比で比較的安定していると反論しています。

Google公式ブログ「AI in Search is driving more queries and higher quality clicks」公式発表

Overall, total organic click volume from Google Search to websites has been relatively stable year-over-year.

全体として、Google検索からウェブサイトへの自然検索のクリック総数は、前年比で比較的安定している。

原文を読む(blog.google)

ただ、英国の新聞大手Reachは9月16日、AI要約で流入が落ちたとして編集職220人の削減を発表しました。

法的な圧力も続いています。2025年9月には米Penske MediaがGoogleを提訴しました。欧州委員会は同年12月に独占禁止法の調査を始め、十分な対価や実質的な拒否手段がないままコンテンツを使っている疑いを調べています。欧州委員会の競争政策の公式アカウントも、出版社やクリエイターのコンテンツが不公正な条件で使われていないかを調べると投稿しました。

GoogleのAI学習を拒否する設定(Google-Extended)は検索への掲載には影響せず、AI要約から外れるには検索結果の抜粋表示そのものを制限する必要があります。Googleのサイト運営者向けドキュメントは、AIは検索と一体だとして、その手段を次のように案内しています。

Google Search Central「AI features and your website」公式ドキュメント

AI is built into Search and integral to how Search functions, which is why robots.txt directives for Googlebot is the control for site owners to manage access to how their sites are crawled for Search. To limit the information shown from your pages in Search, use nosnippet, data-nosnippet, max-snippet, or noindex controls.

AIは検索に組み込まれ、検索の働きと切り離せない。そのため、サイトが検索のためにどうクロールされるかを管理する手段は、Googlebot向けのrobots.txtの指定になる。検索でページから表示される情報を制限するには、nosnippet、data-nosnippet、max-snippet、noindexを使う。

原文を読む(developers.google.com)

反応と論点

Digidayの取材では、参加した幹部が計算の仕組みが見えないと不満を示しつつ、直接払いの前例ができたこと自体は評価しました。一方で、事情を知る関係者は同誌に、これまでの支払いは広告収入と比べて「peanuts(はした金)」だと語っています。

The Decoderは、Googleが1社ずつ条件を決めることで、パブリッシャーが足並みをそろえにくくしていると分析しました。一部の社が抜けても代わりのサイトはいくらでもあるため、交渉力は結局Google側に残る、という見立てです。

もう一つの論点は評価軸の変化です。この仕組みはクリックではなく、回答への貢献に値段を付けます。流入数を前提にしたSEOの成果指標は、そのままでは実態を測れなくなりつつあります。

日本のビジネスへの影響

このパイロットに日本のサイトが含まれるかは明らかになっていません。一方、AI Overviewsは日本でも表示され、AI Modeも2025年9月から日本語で使えます。対価は当面期待できず、流入減の圧力だけが先に来ると考えるのが現実的です。

メディア運営者やSEO担当者が今やれることは3つあります。

  • 影響を数字でつかむ:AI OverviewsやAI Modeからの流入は、Search Consoleの検索パフォーマンス(ウェブ)に通常の検索と合算されて出ます。生成AI機能で自サイトへのリンクが表示された回数をページ別・国別に見られる「生成AIパフォーマンスレポート」も、8月31日に全世界のサイトへ提供が広がりました。表示回数は保ったままクリック率だけ落ちたクエリを洗い出すと、AI要約に吸われている範囲が見えてきます。用語解説や手順説明のような情報収集型の検索は、AI要約だけで用が済みやすいと考えられます
  • 回答の材料になる情報を持つ:Googleが対価の基準に挙げたのは鮮度と事実の正確さです。独自の調査データ、価格や仕様の一次情報、更新日の明記、結論を先に置く構成は、AI回答に引用されやすいだけでなく、対価の仕組みが広がった場合の貢献度にもつながります。他サイトの情報をまとめ直しただけの記事は、AI要約に置き換えられやすいと考えられます
  • Google以外の接点を育てる:メルマガ、LINE公式アカウント、会員登録など、検索に頼らず読者に直接届く経路を増やします

公式発表Generative AI performance report (Search)Google Search Console ヘルプ · support.google.com

広告主やアフィリエイト運営者にとっては、比較・まとめ記事への流入が細る可能性があります。記事経由の送客だけに頼らず、指名検索(ブランド名での検索)を増やす施策や、自社サイトで一次情報を出すことが、AI回答の中で名前を挙げてもらう近道になります。AI要約からの離脱を狙ってスニペットを止める設定は、通常の検索での見え方も損なうため、慎重に判断する必要があります。

一次情報

参考にした報道(8件)

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この記事の編集責任者

田中智大

AIデジマ編集長/株式会社ドイル 代表取締役

株式会社ドイル代表。元Googleで広告営業・コンサルティングに従事し500社以上を担当。広告運用とAIエージェント開発を手がける。