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GoogleのAIモードの答えはGoogle自身の発言、ドイツの裁判所が2件続けて責任を認める

3行でわかる

  1. Google検索の「AIモード」が、ドイツの医師を別の元教授の性犯罪や解雇と結びつけて説明していた
  2. アーヘン地方裁判所は9月24日、AIの答えはGoogle自身の発言だとして、その表示の差し止めをGoogleに命じた
  3. 5月のミュンヘン地方裁判所に続く2件目の判断で、AIの要約が間違えたら検索会社が責任を負うという考え方がドイツで重なっている

ドイツ西部のアーヘン地方裁判所は2026年9月24日、Google検索の「AIモード」(質問にAIが文章で答える検索の機能)が、地元の医師について別人の性犯罪や解雇を事実のように説明していた件で、Googleにその表示をやめるよう命じる仮処分を出しました。裁判所は、AIの答えは他人のサイトを並べたものではなくGoogle自身の発言だと判断しています。5月にミュンヘン地方裁判所が出した同じ趣旨の決定に続く2件目で、独メディアのThe Decoderが10月18日にこの流れをまとめて報じました。

何が起きたか

訴えたのは、2010年から2026年6月末までアーヘンの病院で診療部長を務めていた医師です。8月末、Googleで自分の名前を調べると身に覚えのない話が出てくることを、同僚から知らされました。医師の名前と「休職」などの言葉で検索すると、AIモードは、医師が出張中に秘書に迫って休職・解雇となり、性的強要で執行猶予つきの有罪判決を受け、6桁ユーロの和解金を得たという話を、事実の報告のような文章で示していました。

実際には、これらは同じ病院の別の元幹部の出来事でした。AIが根拠として示した新聞記事にも、訴えた医師の名前は出ていません。医師は8月末にGoogleへ削除を求めましたが、Googleは9月半ばに対応しないと回答し、弁護士からの警告書にも応じなかったと、ドイツの法律専門メディアbeck-aktuellと医師側の弁護士事務所が伝えています。

裁判所は事件番号8 O 268/26で、Googleのアイルランド法人に対し、問題の文章をAIモードで広めることを禁じました。Googleの言い分を聞く前に出した緊急の仮処分で、確定したものではありません。The Decoderは、違反すれば1回ごとに最大25万ユーロの制裁金がありうると報じています。

公式ドキュメントLG Aachen, Beschluss vom 24.09.2026(決定文のPDF・ドイツ語)Landgericht Aachen · itm.nrw

裁判所の考え方

ポイントは、AIの答えを誰の発言とみなすかです。通常の検索結果は他人のページへのリンクなので、検索会社の責任は間接的なものにとどまります。アーヘンの裁判所は、AIが複数のサイトの情報を組み合わせて新しい文章を作った以上、それはGoogleの発言だと判断しました。別々の出来事を別の人に結びつけたこと自体が、元のどのサイトにもない新しい誤情報を生んだという理屈です。

さらに裁判所は、Googleは確認できたはずだとも述べています。医師の指摘をGoogle自身のAIにぶつけていれば、間違いだとわかったはずだという指摘です。人格権(名誉や社会的評価を守る権利)の侵害にあたり、過失の有無にかかわらず差し止めの対象になるとしました。

Google自身も、AIモードの説明ページで間違いがありうることを認めています。

Google検索ヘルプ「AI Mode in Google Search」公式ドキュメント

As with any early-stage AI product, AI Mode doesn’t always get it right. For example, in some cases AI Mode may misinterpret web content or miss context, as can happen with any automated system in Search.

初期段階のAI製品はどれもそうであるように、AIモードは常に正しいとは限りません。たとえば、検索のどの自動の仕組みでも起こりうるように、AIモードがWebの内容を誤って解釈したり、文脈を見落としたりする場合があります。

原文を読む(support.google.com)

背景:ミュンヘンの決定とGoogleの対応

先例は、ミュンヘン第一地方裁判所が5月28日に出した決定(26 O 869/26)です。ドイツの法律メディアLTOによると、ミュンヘンの出版社の名前と「詐欺の手口」で検索すると、AIの要約(AI Overviews)がその出版社を怪しい商売や定期購読のわなと結びつけて説明していました。Googleは、情報は外部のサイトに由来し、利用者はリンク先で確かめられると主張しましたが、裁判所はAIの要約をGoogle自身の発言と判断し、表示の差し止めを命じています。

Googleは6月、この決定に対して上訴する方針を示しました。The Decoderは、その後この件が上級の裁判所の判断を待たずに和解で終わったと報じています。和解の理由や金銭のやりとりは明らかになっていません。上級審の判断が出ないまま、別の裁判所が同じ考え方を採ったことで、ドイツでは「AIの答えには検索会社が責任を負う」という見方が重なりつつあります。

論点

裁判所の考え方を広げると、AIの答えに名前が出る人や会社は、間違いがあれば検索会社に直接表示の停止を求めやすくなります。一方で、今回の2件はどちらも、相手の言い分を詳しく聞く前の仮処分です。本格的な裁判で同じ結論になるか、ドイツ以外の国で同じ考え方が採られるかはわかりません。アーヘンの決定に対するGoogleの反応は、現時点で報じられていません。

Google検索では、AIモードで出典のリンクを目立たせる表示の試験も進んでいます(関連記事)。AIの答えに何が書かれるかは、企業にとって検索順位と同じくらい気にすべきものになっています。

日本のビジネスへの影響

  • 使えるか: Googleのヘルプの提供国一覧では、AIモードは日本でもドイツでも提供されています。今回はドイツの裁判所の判断で、日本の裁判所が同じ考え方をとるかは決まっていません。日本でも、AIの答えに出る間違った説明は名誉の問題になりうる、と考えておくのが安全です。
  • 誰にどう効くか: 広報・ブランド担当者と、口コミや評判で売上が動く業種(医療・士業・出版・EC)の経営者に関係します。今回の医師は、同僚に言われるまで自分についての誤った説明に気づいていませんでした。
  • 今すぐやれること: 自社名や代表者名に「評判」「トラブル」「詐欺」などの言葉を足してGoogleのAIモードとAI Overviewsで検索し、どう説明されているかを確かめて記録します。誤りがあれば画面を保存し、回答の下の評価ボタンから報告します。検索とAIの答えを使った集客の見直しにはマーケティング向けAIのガイドも参考になります。
  • 注意点: Googleは今回、削除の求めに応じず、裁判所の命令が出るまで表示が続きました。報告ボタンだけで直るとは限らないため、深刻な誤りは早めに弁護士に相談し、記録を残しておくことが大切です。

一次情報

参考にした報道(3件)

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この記事の編集責任者

田中智大

AIデジマ編集長/株式会社ドイル 代表取締役

株式会社ドイル代表。元Googleで広告営業・コンサルティングに従事し500社以上を担当。広告運用とAIエージェント開発を手がける。