ChatGPTの会話に鍵をかけられるように、4桁の暗証番号や顔認証で 無料版も対象

3行でわかる
- OpenAIは10月20日、ChatGPTの会話を選んで4桁の暗証番号で隠せる「ロックしたチャット」の提供を順次始めた
- 無料版からEnterpriseまで7つのプランが対象で、スマホでは顔認証や指紋認証でも開ける。会社の管理者も解除できない
- 暗号化ではなく見えなくするだけで、暗証番号を忘れてリセットするとロックした会話とファイルはすべて消える
OpenAIは現地時間10月20日、ChatGPTで選んだ会話を4桁の暗証番号(PIN)で隠せる「ロックしたチャット(Locked chats)」の提供を順次始めました。無料版を含む7つのプランが対象で、スマートフォンでは顔認証や指紋認証でも開けます。家族とパソコンを共有するときや、会議で画面を見せるときに、見られたくない相談を目に入らないようにする機能です。
何が始まったか
ロックしたチャットとは、残しておきたい会話を通常の履歴や検索結果から外し、暗証番号を入れたときだけ開けるようにする機能です。ロックした会話は「プロジェクト」の中の「Locked chats」という専用の場所にまとめられ、サイドバーにはタイトルも表示されません。
OpenAIの公式ヘルプは、狙いを次のように説明しています。
This can help keep sensitive conversations out of view when you share your screen or use a shared device.
画面を共有するときや、共有の端末を使うときに、人に見せたくない会話を目に入らないようにするのに役立ちます。
原文を読む(help.openai.com)対象は、ChatGPTのFree・Go・Plus・Pro・Business・Enterprise・Eduの7プランです。医療機関向けの「ChatGPT for Healthcare」では使えません。パソコンではmacOSとWindowsの新しいChatGPTアプリとWebで、スマートフォンではiPhoneとAndroidのアプリで使えます。順次の提供なので、会話のメニュー(•••)に「Lock chat」が出ていなければ、まだ自分のアカウントに届いていないということです。
使い方
公式ヘルプの手順をまとめると、次のとおりです(10月21日時点)。
- 隠したい会話のメニュー(•••)から「Lock chat」を選び、もう一度「Lock chat」で確定する
- 初めてのときは4桁の暗証番号を作る(同じOpenAIアカウントなら、ほかの端末でも同じ番号で開ける)
- 開くときは「プロジェクト」→「Locked chats」で暗証番号を入れる。iPhoneは顔認証・指紋認証、Androidは端末のロック解除方法でも開ける
- 使い終わったら「Lock now」ですぐに閉じる
スマートフォンでは、ロックした会話から離れて1分たつか、アプリを1分間裏に回すと自動で閉じます。Webでは、ページを再読み込みするかタブを閉じると閉じます。Androidでは、ロックした会話の画面をスクリーンショットしても真っ黒になります。
できないこと、消えてしまうこと
便利な一方で、公式ヘルプには使う前に知っておくべき制約が並んでいます。いちばん重要なのは暗証番号を忘れたときの扱いです。
Resetting your account PIN permanently deletes all locked chats, remembered information stored only within locked chats, and files or other content protected only by your previous PIN. This cannot be undone, and OpenAI Support cannot recover the deleted content.
暗証番号をリセットすると、ロックしたチャットすべてと、その中だけで記憶した情報、前の暗証番号でだけ守られていたファイルなどが完全に消えます。元に戻すことはできず、OpenAIのサポートも復元できません。
原文を読む(help.openai.com)番号を覚えていれば、変更しても会話は消えません。消えるのは、忘れて「リセット」したときです。
ほかにも、次の点は変わりません。
- 暗号化ではない: ロックは「見えなくする」仕組みで、エンドツーエンド暗号化(送り手と受け手以外は誰も読めない方式)や、別の金庫を作るものではない
- 保存期間や学習の設定は同じ: OpenAIが会話を保存する期間や、「すべての人のためにモデルを改善する」(会話をAIの学習に使うか)の設定は変わらない
- ロック前の記憶は残る: ロックする前にChatGPTが覚えた情報は消えない。ロック後の会話で覚えたことは、ほかのロックした会話の中でだけ使われる
- 会社の記録には残る: EnterpriseとEduでは、ロックした会話も企業の監査用の記録(コンプライアンス用の仕組み)に含まれる。一方で、管理者が会話のロックを解除したり、暗証番号をリセットしたりはできない
一時チャット(履歴に残らない会話)・グループの会話・共有リンクから始めた会話・予定タスクを設定した会話・会議の録音がある会話などはロックできません。ロックした会話は、検索・ピン留め・共有もできなくなります。
背景
ChatGPTに健康やお金、人間関係の相談をする人は増えています。TechCrunchは、ロック機能の目的を、友人や家族に端末を渡すときや、サプライズを計画しているときに会話を隠すことだと報じています。
この機能の開発は、以前から知られていました。米Android Authorityは8月21日、ChatGPTのAndroidアプリ(バージョン1.2026.230)のプログラムの中に、ロックしたチャットの説明文が見つかったと報じていました。2か月たって、正式に提供が始まった形です。
なお公式ヘルプには、広告が表示されるアカウントでは、ロックした会話の中にも広告が出る場合があると書かれています。ChatGPTの料金プランの違いはChatGPTとは、無料でも文章の相談は無制限 有料は月20ドルのPlusから4段階でまとめています。
日本のビジネスへの影響
- 使えるか: 公式ヘルプは対象を地域で限っておらず、無料版を含む7プランで順次使えるようになります。メニューに「Lock chat」が出れば日本からも使えます
- 誰にどう効くか: 営業資料や採用、人事の相談をChatGPTでしていて、会議で画面を共有することが多い管理職や営業担当に向きます。家族と1台のパソコンを共有している個人事業主にも役立ちます
- 今すぐやれること: 過去の会話を見返し、取引先名や社員の評価が入った会話をロックしておく。あわせて暗証番号は社内パスワードと同じ方法で管理しておく
- 注意点: これは「見えなくする」機能で、情報漏えい対策ではありません。会社の機密を入力してよいかどうかは、ロックの有無ではなく、会社の規程と「学習に使うか」の設定で判断します。暗証番号を忘れると中身はすべて消えるので、残す必要がある記録はロックせずに別の場所へ保存しておくのが安全です。チャットAIの選び方はチャットAIのおすすめと料金比較にまとめています
一次情報
- 公式ドキュメントOpenAI Help CenterUsing locked chats in ChatGPT
参考にした報道(2件)
- TechCrunchChatGPT now lets you lock your chats
- Android AuthorityChatGPT could soon let you lock chats behind a PIN or fingerprint
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