AIキャラと話せる「Character.AI」が破産申請、買い手がつかなければサービス終了へ

3行でわかる
- AIのキャラクターと会話できる米Character.AIが、裁判所の監督下で会社を売るために破産手続きを始めた
- 売却は11月末から12月初めに終わる見込みで、サービスを続けられる買い手が現れなければ終了する
- ディズニーが資産の一部を2,000万ドルで買う契約を結んだと報道。2024年にはGoogleが27億ドルを払った会社だった
AIのキャラクターと会話できるサービスで知られる米Character.AIが、米連邦破産法11条(チャプター11。日本の民事再生に近い手続き)の適用を申請しました。現地時間10月12日付の公式ブログで公表し、裁判所の監督下で会社を売りに出します。11月末から12月初めまでに、サービスを続けられる買い手が見つからなければ終了するとしています。
何が起きたか
Character.AIとは、利用者が好きな性格や設定を与えたAIのキャラクターを作り、そのキャラクターと文字や音声で会話できるサービスです。アニメや映画の登場人物風のキャラクターから、悩みを聞いてくれる相手まで、利用者自身が作ったキャラクターが並びます。
公式ブログによると、取締役会は、裁判所の監督下で売却を進めるのがいちばん望ましい道だと判断しました。売却の行方次第でサービスの存続が決まります。
If such a bid is unavailable, however, the platform will be wound down.
(サービスを続けられる買収提案が)得られない場合、プラットフォームは終了します。
原文を読む(blog.character.ai)利用者への影響については、当面はすべての機能が使え、有料会員の請求も変わらないと説明しています。有料機能が変わる場合は事前に知らせ、アカウントの削除や会話データの書き出しもこれまでどおりできるとしています。
TechCrunchとEngadgetは、ディズニーが資産の一部を2,000万ドルで買う契約を結んだと報じています。ディズニーは最初の買い手候補として値段の基準を示す立場で、より高い提案が出る余地もあります。TechCrunchによると、ディズニーは同社の技術を期限なく使える権利(独占ではない)も得るほか、先月ディズニーに移ったCharacter.AIの元社員が引き継ぎを手伝います。裁判所に出した書類では、資産と負債はいずれも5,000万〜1億ドルの範囲とされていると報じています。
背景
Character.AIは2021年末、Google出身の技術者ノーム・シャジール氏とダニエル・デ・フレイタス氏が創業しました。2022年に評価額10億ドルを超え、2024年10月には月間の利用者が2,000万人に達したと報じられています。利用時間の長さでは上位のアプリでした。
転機は2024年8月です。Googleが約27億ドルを払って同社のAIの利用権を得て、創業者2人はGoogleに戻りました。残った会社は自前のAI開発をやめ、利用者を増やす方向に切り替えます。その後もAIで作る動画や短いドラマなどの新機能を足しましたが、立て直しには至りませんでした。
逆風になったのが子どもの安全をめぐる問題です。米フロリダ州で14歳の少年がこのサービスのキャラクターにのめり込んだ末に自殺し、母親が訴えを起こしました。テキサス州も2024年12月に子どものプライバシーと安全の法律を守っているか調査に入っています。同社は一部の訴訟で和解し、未成年の利用を禁止しました。公式ブログも、この1年間「大きな法的・規制上・運営上の逆風」の中にあったと書いています。
ディズニーとの関係も変わりました。Engadgetによると、ディズニーはかつて自社のキャラクターが無断で使われているとして利用停止を求める文書を送っていました。そのディズニーが、今度は資産の買い手として名乗りを上げたことになります。
反応と論点
米国の技術者が集まる掲示板Hacker Newsでは、100件を超えるコメントが付きました。利用者が月に何千万人いても、お金を払う人が少なければ事業として成り立たない、という指摘が目立ちます。AIは使われるほど計算の費用がかかるため、無料の利用者が多いサービスほど苦しくなるという見方です。
会話データの行方を心配する声もあります。破産した会社の資産としてデータが売られ、以前のプライバシーの約束が守られなくなる例がある、という指摘です。公式ブログは今のところデータの扱いは変わらないとしていますが、買い手が決まった後の方針はまだわかりません。
一方で、利用者はこのサービスに価値を感じていたのだから、挑戦して失敗すること自体は新興企業によくある結末だ、と擁護する意見もありました。Googleとの取引のお金は主に創業者や株主に渡っており、会社の資金にはならなかったという指摘もあります。
日本のビジネスへの影響
使えるか: Character.AIは日本からも使われてきましたが、日本向けの特別な発表はありません。売却の結果次第で終了する可能性があるため、日本の利用者もアカウント設定から会話データを書き出しておくのが安全です。
誰にどう効くか: AIのキャラクターや話し相手のサービスを企画している事業担当者・経営者にとって、重要な前例です。利用者が多くても、課金する人が少なければAIの計算費用で赤字が膨らみます。さらに子どもの安全への対応が遅れると、訴訟と規制で事業そのものが止まり得ることを示しました。
今すぐやれること: 自社でAIの対話機能を提供している、または提供を検討しているなら、未成年の利用をどう確認・制限するかと、会話データをどこまで保存するかを今のうちに文書で決めておくと安心です。仕事で使う対話AIの選び方は「対話AIの選び方」にまとめています。
注意点: ディズニーの取得額や負債の規模は報道の情報で、最終的な買い手と金額は11月末以降の手続きで決まります。サービスの名前が残っても、運営する会社が変われば利用規約やデータの扱いが変わることがあります。
一次情報
- 公式発表Character.ai公式ブログAn Update on Character.ai
- コミュニティHacker NewsCharacter.ai Files for Bankruptcy(議論)
参考にした報道(3件)
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