OpenAIが大幅値引きでClaudeの大口客を奪う、AI開発のReplitは年1億ドル超の契約を乗り換えと報道

3行でわかる
- OpenAIはClaudeを作るAnthropicの大口顧客に大幅な値引きを示し、自社のAIへの乗り換えを進めていると米The Informationが報じた
- AIでアプリを作るサービスのReplitは年1億ドル超の契約で3割超の値引きを受け、標準のAIをOpenAIに切り替えた。費用が80〜90%減った企業もあるという
- OpenAIは自社の利益を削って顧客を取りに行っているとみられ、AIを仕事に使う企業には値下げ交渉の余地が広がっている
OpenAIが、Claudeを開発するライバルのAnthropicの大口顧客に大幅な値引きを持ちかけ、自社のAIへの乗り換えを進めていると、米国のIT専門メディアThe Informationが現地時間2026年10月24日に報じました(出典: The Informationの報道)。AIでアプリを作るサービスのReplitは、年1億ドルを超える契約で3割を超える値引きを受けたとされ、AIにかかる費用が80〜90%減ったという企業も出ています。
何が起きたか
The Informationと、その内容を伝えた独The Decoderなどによると、乗り換えが報じられたのは次の企業です。いずれも各社が契約条件を公式に認めたものではなく、報道ベースの数字です。
| 企業 | 何をしている会社か | 報じられた内容 |
|---|---|---|
| Replit | 言葉で指示するだけでアプリやWebサイトを作れるサービス | 年1億ドル超の契約でOpenAIから3割超の値引き。AIへの支出の大半をOpenAIに移した |
| Rippling | 人事・給与の管理システム | 社内のプログラミング作業に使うAIのうち、OpenAIの割合が16%から52%に増え、Anthropicは57%から18%に減った |
| DataCamp | オンラインのデータ分析講座 | OpenAIの料金でAIの費用が80〜90%減った |
| 米国の銀行(社名非公表) | 資産70億ドル超 | ChatGPTを使う社員を500人に倍増させても追加料金なし。1人あたり月7ドル未満で、通常の20ドル以上を大きく下回る |
The Decoderは、OpenAIが自社の利益率を削って市場の取り分を買っている面があると分析しています。一方で、OpenAIは「Sol」「Luna」という比較的安いモデルの系列で、仕組みの効率化による本当の値下げも進めているとしています。
Replitで何が変わったか
中でも目立つのがReplitです。CEOのアムジャド・マサド氏は10月16日、米TechCrunchのイベントの壇上で、Anthropicとはもう仕事をしていないと語り、理由に費用・提携関係・性能の3つを挙げました。TechCrunchによると、Replitは少し前までAnthropicの上位5社に入る顧客でした。
マサド氏はその後TechCrunchに対し、Replitは特定のAIに縛られない方針で、OpenAIは「優先パートナー」になったと説明を改めています。利用者は今もClaudeを選べますが、標準で使われるAIはOpenAIになりました。多くの利用者は標準設定のまま使うため、Anthropicへの支払いは大きく減るとみられます。
OpenAIとの関係は8月に始まっていました。Replitは公式ブログで、OpenAIのモデルを使い、月額料金の範囲で追加のクレジットを消費せずに使える「Free Mode」を発表しています。
With OpenAI, Replit now helps you accomplish even more, every day.
OpenAIとともに、Replitは毎日もっと多くのことを成し遂げられるよう手助けします。
原文を読む(replit.com)10月25日時点のReplitの公式ドキュメントでは、上位のプランで選べるAIの一覧にClaude Opus 5.5などAnthropicのモデルも残っています。標準の設定は、作業ごとに品質と費用のバランスを見てAIを自動で選ぶ「Auto」で、無料の範囲で使う人はAIを自分で選べません。
公式ドキュメントModel selector(選べるAIの一覧)
背景
Anthropicは企業向け、特にプログラミング用途で強く、売上を急速に伸ばしてきました。The Decoderによると、Anthropicの7〜9月期の売上は168億ドルで前の期より約45%増えましたが、4〜6月期の140%超の伸びからは鈍っています。The Informationは、Anthropicが11月に株式上場を計画していると報じています。
AIの値段そのものも下がっています。中国のDeepSeekやKimiが、同程度の性能のAIをずっと安い料金で出しており、両社に値下げの圧力がかかっていると報じられています。米国の法人カード会社Rampの集計では、OpenAIとAnthropicの利用単価が9月中旬から10月中旬の1か月で25.4%下がりました(AIの成果はIT大手だけとするApolloの分析)。
反応と論点
マサド氏が壇上で「Anthropicとは仕事をしていない」と述べた点には異論も出ました。TechCrunchによると、Anthropicとの関係に詳しい人物は提携はまだ続いていると話し、9月下旬のReplitのブログでもClaudeのモデルが使われていると書かれていました。値引きがどこまで乗り換えの理由になったのか、性能の評価がどこまで影響したのかは、外からは確かめられません。
値引きで得た顧客を長くつなぎ止められるかも論点です。値引きは契約の更新時に見直されることが多く、各社の実際の料金は公開されていません。Anthropicの側も、上場を前に利益率を守るか、値下げで応じるかの判断を迫られます。
日本のビジネスへの影響
- 使えるか: 今回の値引きは米国の大口契約の話で、日本企業に同じ条件が出ているかはわかっていません。各社の公開の料金表が下がったわけではありません。Replitの料金はドル建てです
- 誰にどう効くか: AIの利用料が毎月数十万円を超えている企業のIT部門・情報システム担当者や、AIを組み込んだ自社サービスを作る事業責任者に関係します。利用量が大きい企業ほど、複数のAI会社を競わせて値引きを引き出せる状況になっています
- 今すぐやれること: 契約更新が近いなら、ChatGPTとClaudeの両方の法人向け窓口から見積もりを取り、自社の実際の作業で品質と費用を比べてみてください。乗り換えを考えるなら、AIをすぐ差し替えられる作りにしておくと交渉材料になります。開発ツールの選び方はコーディング用AIのガイドにまとめています
- 注意点: 大幅な値引きは期間限定や利用量の約束とセットのことが多く、更新時に値上がりする可能性があります。AIを替えると出力の傾向も変わるため、料金だけで決めず、業務で使う文章やプログラムの品質を必ず確かめてください
一次情報
- 公式発表Replit公式ブログReplit introduces Free Mode
- 公式ドキュメントReplit DocsModel selector
参考にした報道(5件)
- The InformationAnthropic's Margin Is OpenAI's Opportunity
- The DecoderOpenAI offers discounts up to 90 percent to poach Anthropic's biggest customers
- TechCrunchReplit makes OpenAI its default over Anthropic, CEO says
- RuntimeWireReplit shifted most AI spending to OpenAI under a reported $100M-a-year deal
- The DecoderAnthropic's Q3 revenue hits $16.8B but growth slows ahead of planned November IPO
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