3店舗の飲食店オーナーがChatGPTで値付けを5日から2時間に、月1回の現金照合も3時間が10分

3行でわかる
- 米国で3店舗の飲食店を営むフランチャイズのオーナーが、ChatGPT Workで経営の裏方の仕事を短くした事例をOpenAIが公開した
- メニューの値付けの見直しは5日から1〜2時間に、毎月の現金と入金の照合は3時間から5〜10分に、給与計算の準備は毎回4時間減った
- 勤務シフトもAIが作り、人件費が売上の1〜2ポイント下がれば年5万〜10万ドルの資金が浮くとオーナーは見込む
米ニューメキシコ州で飲食チェーンの加盟店を3店舗営むオーナーが、ChatGPTのエージェント機能「ChatGPT Work」で、メニューの値付けの見直しを5日から1〜2時間に、毎月の現金の照合を3時間から5〜10分に縮めました。OpenAIが現地時間10月20日、導入事例として公開しました。大企業の全社導入ではなく、個人のオーナーが自分で抱えていた裏方の仕事をAIに渡した例です。
どんな店で、何を任せたか
テッド・テイラー氏は、米国のチェーン「Schlotzsky's(シュロッツキーズ)」と「Cinnabon(シナボン)」を1つの店で出す複合店を、独立した加盟店として3店舗営んでいます。飲食業に移る前は、半導体業界に25年いました。
AIに渡したのは、値付けや人件費、経理、規程づくりといった裏方の仕事です。時間の変化は次のとおりです。
| 仕事 | 以前 | ChatGPT Workで |
|---|---|---|
| メニューの値付けの見直し(年1回) | 5日 | 1〜2時間 |
| 3店舗の現金と銀行入金の照合(毎月) | 3時間 | 5〜10分 |
| 給与計算に使う数字のまとめ(毎回) | — | 4時間短縮 |
| 従業員向け規程の下書き | — | 約30秒で下書き |
ChatGPT Workとは、調べもの・分析・資料作りのように何段階もある仕事を最後まで引き受ける、ChatGPTのエージェント(指示を受けて自分で手順を進めるAI)です。OpenAIの公式ヘルプによると、有料プランでWebとスマートフォンのChatGPTから使え、パソコン向けの新しいChatGPTアプリでも画面上部の切り替えで「Work」を選べます。
任せる前に、自分の手作業と突き合わせた
テイラー氏の使い方で目を引くのは、いきなりAIの答えを採用していない点です。値付けを初めて任せたときは、同じ分析を自分でも手で行い、2つの結果を並べました。AIの案は地元の店との比較が細かく、上げすぎると競争力を失う品目を避けられたため、以後は最初の案をChatGPTに作らせています。テイラー氏はOpenAIの事例ページでこう話しています。
ChatGPT Work’s recommendations are so good that it’s much faster to start there and then make adjustments.
ChatGPT Workの提案はとても良いので、そこから始めて手直しするほうがずっと速い。
原文を読む(openai.com)勤務シフトも同じ手順で確かめました。店長が自分で組んだシフトとAIの案を比べると、混む時間帯に人を増やす決まりを指示に書き忘れていたとわかり、指示を直しました。いまは1店舗のシフトをChatGPT Workが丸ごと作り、店長が見直してから店のシステムに入力しています。
仕事ごとに何を渡したか
AIに渡すのは、テイラー氏が自分で判断するときに見るのと同じデータです。
| 仕事 | 渡したもの | 返ってくるもの |
|---|---|---|
| 値付け | 分類したメニュー一覧と店内・宅配の今の価格、全体の値上げ幅と品目ごとの強弱の指示。必要に応じて品目ごとの売上の履歴と仕入れ価格 | 店内と宅配の推奨価格を並べた表計算ファイル。売上の履歴などを足すと、値上げで売上がどう動くかの見積もりも出る |
| 人件費の点検 | 売上と勤務のデータ(読み取りだけの権限) | 残業、予定より長引いたシフト、人手の足りない時間帯に印をつけた報告書 |
| シフトづくり | 従業員ごとの役割・研修の状況・働ける時間・時給と、売上の水準ごとに必要な人数 | 1店舗分のシフト案 |
| 現金照合 | 各店の現金の取引記録と銀行の記録 | 取引と入金を突き合わせた結果 |
値付けでは、表を渡す前の段階でもAIを使っています。地元の競合店の価格の動きや量、品質をChatGPT Workに調べさせ、それをもとに価格の目標と方針を決めます。値付けは材料費、品目ごとの売れ行き、競合の価格、量、店内と宅配の採算の違いを同時に見る必要があり、ここに最も時間がかかっていました。
人件費の点検では、ChatGPT Workが予定・予算・実績の勤務時間を、売上の予測と実績に照らします。店ごとに予測より売れがち・売れにくいくせがあるため、過去12週間までさかのぼって見ます。
ほかに、従業員が備品の注文や修理を頼めるWebページもChatGPT Workで作りました。依頼は専用のメールアドレスに届き、対応の状況も追えます。
成果
数字はすべてOpenAIの事例ページでテイラー氏が示したものです。値付けは5日が1〜2時間に、毎月の現金照合は3時間が5〜10分に、給与計算の準備は毎回4時間減りました。事例のタイトルにある「94%」は、3時間が10分ほどになった現金照合の短縮幅にあたります。
シフトについては見込みの段階です。テイラー氏は、シフトの組み方が良くなれば3店舗全体で時給の人件費を売上の1〜2ポイント下げられ、年に5万〜10万ドルの手元資金が浮く可能性があると見ています。使い道は昇給、賞与、店への投資、利益の分配を挙げています。
規程づくりも速くなりました。ニューメキシコ州が飲食店に、嘔吐など体液で店内が汚れたときの手順書を求めるようになった際は、約30秒で下書きを作りました。SNSの利用ルールの下書きは、外部の人事コンサルが見直しても修正がなかったといいます。
この事例は、OpenAIが自社の製品を紹介するために公開したものです。数字はオーナー本人の申告で、第三者が確かめたものではありません。
日本で真似するなら
- 必要なもの: ChatGPTの有料プラン(Workが使えるプラン)。POSレジの売上、勤務の記録、仕入れ価格、銀行の入金明細を表計算のファイルで書き出せること
- 進め方: 答えがわかっている過去の仕事で、自分の結果とAIの結果を並べてみる。ずれた部分は指示に決まりを書き足し、確かめられた仕事から任せる範囲を広げる。AIの結果は確認してから使う
- 値付けに使うなら: 近くの店の価格をAIに調べさせる場合、地方の個人店の価格はWeb上に少ないことがあります。自分で集めた価格表を一緒に渡したほうが確実です
ChatGPT Workを社員10万人超で使う米Oracleの例はこちらの記事で紹介しています。ChatGPTのプランと料金はChatGPTとは、無料でも文章の相談は無制限 有料は月20ドルのPlusから4段階にまとめています。
日本のビジネスへの影響
- 使えるか: 公式ヘルプによると、ChatGPT Workは対象の有料プランでWeb・スマートフォン・パソコン向けアプリから使えます。日本の給与計算や税のルールに合った結果になっているかは、自分で確かめる必要があります
- 誰にどう効くか: 飲食店や小売店を数店舗経営するオーナー、フランチャイズ加盟店の経営者、店舗の経理担当に向きます。年1回の値上げの検討や、月末の現金と入金の突き合わせのように、データはあるのに手間がかかって後回しになる仕事ほど効果が出ます
- 今すぐやれること: 先月分の売上の記録と銀行の入金明細を書き出し、ChatGPTに突き合わせさせて、自分で照合した結果と見比べてみる。正解がわかっている仕事で精度を確かめるのが第一歩です
- 注意点: 給与や従業員の個人情報を渡す前に、使うプランで会話が学習に使われない設定になっているかを確かめます。数字はオーナー本人の申告で、OpenAIが自社製品の紹介として公開した事例です。シフトや値付けはAIの案をそのまま使わず、人が見直してから使います。ほかのチャットAIとの比較はチャットAIのおすすめと料金比較にまとめています
一次情報
- 公式発表OpenAIFranchisee reconciles cash in 94% less time with ChatGPT Work
- 公式ドキュメントOpenAI Help CenterChatGPT Work and Codex
- 公式ドキュメントOpenAI Help CenterMoving to the new ChatGPT desktop app
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