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規制・安全性一次情報

DeepSeekを米国の政府機関から締め出し、DeepSeekを使って作った他社の製品も撤去の対象に

3行でわかる

  1. 米国土安全保障省が、中国DeepSeekのAI製品を連邦政府の文民機関で買うことを禁じ、使っている分は撤去するよう命じた
  2. DeepSeek自身のアプリやサービスだけでなく、DeepSeekを使って作った他社の製品やサービスも撤去の対象に含まれる
  3. どこまでが「DeepSeekを使って作った製品」に当たるかは命令の公開文からははっきりせず、専門家から実際に見分けられるのかと疑問の声も出ている

米国土安全保障省(DHS)は、中国のAI企業DeepSeekの製品を、連邦政府の文民機関(国防総省などの軍を除く省庁)の調達から外し、すでに使っているものは撤去するよう命じました。命令の告知は現地時間10月19日に公開され、10月20日付の米国の官報(Federal Register)に載りました。DeepSeek自身の製品に加え、DeepSeekを使って作った他社の製品やサービスも撤去の対象に含めているのが特徴です。

何が決まったか

命令の中身は2つです。

  • 買わない: DeepSeekと、その関連会社が作ったIT製品・サービスを、連邦政府の文民機関の調達から外す
  • 使っている分を外す: DeepSeekと関連会社の製品、さらにDeepSeekを組み込んで作った他社の製品・サービスを、文民機関のITから取り除く
米官報(Federal Register)掲載のDHSの命令の告知公式発表

removing all DeepSeek and DeepSeek-affiliate products, and third-party products and services developed using DeepSeek implementations, from civilian agency information technology.

DeepSeekとその関連会社の製品、およびDeepSeekの実装を使って開発された他社の製品・サービスを、すべて文民機関のITから取り除く。

原文を読む(federalregister.gov)

根拠は、2018年にできた連邦調達のサプライチェーン(部品や委託先のつながり)の安全を守るための法律です。政府の調達の安全を検討する評議会の勧告と、関連する証拠を検討したうえで長官が命令したと、告知には書かれています。署名された命令の本文は、政府の意見募集サイトの文書番号DHS-2026-0628で公開されているとしています。

公式発表Order: Exclusion and Removal of DeepSeek Products from Federal Civilian Executive Branch Information Technology Systems and ProcurementsFederal Register · federalregister.gov

Engadgetによると、DHSは理由として、DeepSeekを使うと政府職員や取引先の機密データが中国政府に渡るおそれがあること、DeepSeekのモデルに不正なプログラムや弱点が含まれうることを挙げています。DeepSeekが政府の契約に加わることも禁じられると報じています。

これまでの経緯

米国の政府機関がDeepSeekを個別に止める動きは、2025年から続いていました。The Registerによると、国防総省のネットワークを管理する部門が2025年1月にDeepSeekへの接続を遮断し、海軍、NASA、下院、いくつかの州も使用を制限しました。連邦議会には2025年2月に「政府の端末でDeepSeekを使わせない」法案が出されましたが、委員会で止まったままです。今回の命令で、文民機関全体が一律に対象になりました。

DeepSeekは料金の安さで人気を集めており、つい先日も料金を据え置いたまま性能を上げた新版を出したばかりです(DeepSeekの格安AIが料金そのままで性能アップ)。一方、中国側もAIのモデルの国外への持ち出しを規制する案を示しており(中国が高性能AIの「中身」の持ち出しを規制へ)、米中がそれぞれAIを囲い込む動きが重なっています。

反応と論点

論点は「DeepSeekを使って作った他社の製品」がどこまでを指すかです。The Registerは、DeepSeekのモデルをネット越しに呼び出している製品だけなのか、開発の途中でDeepSeekを少しでも使ったアプリまで含むのかがはっきりしないと指摘しています。複数のAIを自動で振り分けて使う中継サービスでは、利用者が意識しないうちにDeepSeekのモデルに処理が回ることもあり、政府機関がこうした設定を絞っていなければ、知らずに使っている可能性もあるといいます。

セキュリティ企業Luta SecurityのCEO、ケイティ・ムスーリス氏はThe Registerに対し、DeepSeekのアプリや窓口を禁じるのは現実的だとしつつ、他社製品の部分は実際に確かめる方法がないと述べています。米国内のサーバーで動かせばデータが中国に流れる心配の多くは避けられ、弱点がありうるのはどのモデルも同じだ、という見方も示しました。

The Registerはまた、性能と安さで人気の中国製の無料公開モデルを政府が使えなくなれば、米国のAI企業の料金を受け入れるしかなくなり、米国企業に有利に働くとも書いています。

日本のビジネスへの影響

  • 関係あるか: 命令の対象は米国の連邦政府の文民機関とその調達で、日本の会社や個人がDeepSeekを使うことを直接禁じるものではありません。ただし、米国の政府機関にソフトやITサービスを納めている日本企業や、その下請けに入っている会社は、自社製品の中にDeepSeekが入っていないかを問われる可能性があります
  • 誰に効くか: 米国の公共部門向けに製品を売っている会社の事業責任者と、自社のサービスに外部のAIを組み込んでいる開発の責任者です。料金の安さからDeepSeekを裏側で使っている製品は珍しくなく、営業の側が把握していないこともあります
  • 今すぐやれること: 自社の製品やサービスが、どの会社のAIモデルを、どの経路(直接の契約か、複数のAIを振り分ける中継サービス経由か)で使っているかの一覧を作ることです。米国の政府や大企業の取引では、この一覧を求められる場面が増えると考えておくと慌てずに済みます。AIの窓口を選び直す場合は用途別ガイドのAIのAPIも参考になります
  • 注意点: 「DeepSeekを使って作った」の範囲は、公開されている告知の文面だけでは確定できません。署名された命令の本文や、今後出る政府の説明を待つ必要があります。範囲がはっきりするまで、先回りしてすべての中国製モデルを外すかどうかは、取引先の要求に応じて判断すれば十分です

一次情報

参考にした報道(2件)

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この記事の編集責任者

田中智大

AIデジマ編集長/株式会社ドイル 代表取締役

株式会社ドイル代表。元Googleで広告営業・コンサルティングに従事し500社以上を担当。広告運用とAIエージェント開発を手がける。