2026年10月13日(火) 海外のAIニュースを、日本語で最速に。 最終更新

海外のAI一次情報を、毎日日本語で。

AIモデル一次情報

Metaが新AI「Muse Wonder」を公開、第三者の性能評価で首位のClaudeに2点差まで迫る

画像はAIで生成したイメージです

3行でわかる

  1. Metaは10月12日、新しいAIモデル「Muse Wonder」と、より高性能な「Muse Wonder Full」の2つを公開した
  2. 第三者の評価サイトArtificial Analysisの総合指数では、上位版が56点で、首位のClaude Opus 5.5の58点に2点差だった
  3. 会話をまたいで覚える機能と、難しい仕事をやり方を変えながら続ける機能が売りで、日本での提供は発表されていない

Metaは現地時間10月12日、新しいAIモデル「Muse Wonder」と、その上位版「Muse Wonder Full」を公開しました。AIの性能を横並びで測る第三者の評価サイトArtificial Analysisでは、上位版が総合指数56点となり、首位のAnthropic「Claude Opus 5.5」(58点)に2点差まで迫っています。

何が発表されたか

Muse Wonderとは、Metaの社内研究組織Meta Superintelligence Labsが開発した、対話AIやAIエージェント(人の代わりに複数の手順をこなすAI)の頭脳になるモデルです。4月に出した「Muse Spark」に続く2つ目の系統で、ザッカーバーグCEOが自身のThreadsで発表しました。米CNBCやInvesting.comなどの報道によると、2つのモデルは次のように使い分けられます。

Muse Wonder Muse Wonder Full
位置づけ 速さと性能の両立型 性能を最大にした完全版
使える場所 開発者向けのMeta Model API、プログラミング支援の「Muse Code」 Muse Codeの購読者のみ
総合指数(Artificial Analysis) 52点 56点

一般の利用者がスマートフォンのAIエージェントアプリ「Muse」で使うには、月20ドルか100ドルの有料プランへの加入が必要だと、CNBCとStartup Fortuneが報じています。Museは9月に無料版を米国で始めたばかりで、今回の新モデルは有料プランに人を呼び込む役割を担います。

Metaが売りにしているのは2つの機能です。報道によると、「Active Memory」は会話をまたいで利用者の情報を覚えておき、必要な場面で思い出す機能です。「Active Focus」は難しい仕事を途中で投げ出さず、うまくいかなければ別のやり方を試し、必要なら利用者に確認を求めます。用途の例として、保険金の請求手続き、賃貸契約書の読み解き、アプリ作りが挙がっています。

外部の評価ではどの位置か

報道によると、Metaはプログラミングや金融・法律の仕事でOpenAIやAnthropicのモデルと肩を並べる性能だと主張しています。ただ、これはMeta自身が用意した試験の結果です。そこで、第三者の評価を確かめました。

Artificial Analysisの総合ランキング(10月13日時点)では、上位5行のうち4行をClaudeが占めています。首位はClaude Opus 5.5の58点で、Muse Wonder Fullの56点は、Claude Sonnet 5.5やOpus 5.5の別設定と同点です。OpenAIのGPT-6 AstraとGoogleのGemini 4 Argonはともに53点で、Muse Wonder Fullより下にいます。

Artificial Analysis「Muse Wonder Full (Max)」公式サイト

The model supports text, image, speech, and video input, outputs text, and has a 1M tokens context window.

このモデルは文字・画像・音声・動画を入力でき、文字で出力する。一度に扱える量(コンテキスト)は100万トークンだ。

原文を読む(artificialanalysis.ai)

100万トークン(トークンはAIが文章を数える単位)は、長い報告書や契約書の束をまとめて読み込める量です。Artificial Analysisは、下位版のMuse WonderのAPI料金を入力100万トークンあたり4ドル、出力20ドルと掲載しています。これはClaude Opus 5.5の公式料金と同じ水準です。

公式サイトLLM Leaderboard(総合ランキング)Artificial Analysis · artificialanalysis.ai

背景

Metaは2025年に公開した「Llama 4」の評価が振るわず、AI開発の体制を作り直しました。米データ企業Scale AIの創業者アレクサンドル・ワン氏を最高AI責任者に迎え、約14カ月かけて今回のモデルにたどり着いたと報じられています。社内のコードネームは「Watermelon」でした。

この間、Metaは4月にMuse Spark、9月8日にAIエージェントアプリのMuseを出しています。Museをめぐっては、許可の範囲を超えて住所を伝えたといった利用者の報告も相次ぎました(「MetaのAIエージェントMuse、許可の範囲を超え住所送信や私信を同期したと報告相次ぐ」)。

反応と論点

Investing.comによると、Metaの株価は発表当日に3.7%上がりました。英フィナンシャル・タイムズの取材を受けたザッカーバーグ氏は、Metaのモデルが最先端の水準に達したとの認識を示しました。そのうえで、AI開発を遅らせるべきだという呼びかけには応じず、すでに次の段階に取り組んでいると話したと、Startup Fortuneが伝えています。安全性の責任は各研究所が負うべきだという立場です。

一方で、慎重な見方もあります。Startup FortuneやRuntimeWireは、性能の数字の多くがMeta自身の試験によるもので、外部での検証がまだ足りないと指摘しています。OpenAIとAnthropicは9月に新しいモデルを出したばかりで、比べる相手も動いています。プライバシーの面でも、Museの社内試験で許可なく機微な情報を扱った例があったと報じられており、新モデルが「覚える」機能を強めたことで、何をどこまで記憶させるかの管理は一段と重要になります。

日本のビジネスへの影響

  • 使えるか: Museのアプリは米国向けで、Muse Wonderの日本での提供は現時点で発表されていません。開発者向けのMeta Model APIを日本から使えるかも、確認できていません
  • 誰にどう効くか: すぐに影響があるのは、AIを使ったサービスを作る企業の開発・企画担当者です。最上位の性能を持つ選択肢がOpenAI・Anthropic・Googleに加えて4社目になり、値下げや機能競争が進む材料になります
  • 今すぐやれること: 今は様子見でよい段階です。社内でClaudeやChatGPTを使っている担当者は、チャットAIの比較ガイドで各社の料金と性能の位置を押さえ、日本で提供が始まった時点で同じ業務で比べられるよう、試す業務を1つ決めておくと判断が早くなります
  • 注意点: 性能の数字は評価サイトや試験によって大きく変わり、Meta自身の数字は外部の検証待ちです。会話を覚える機能は便利な反面、顧客情報や社外秘をうっかり記憶させるリスクがあるため、使う前に記憶の設定と消し方を確認する必要があります

一次情報

参考にした報道(4件)

AIデジマは、公式発表・X投稿・論文などの一次情報を起点に、複数の情報源を照合して日本語でまとめています。情報の収集・翻訳・下書き・照合にはAIを使い、編集方針と最終責任は編集長が負います(AIの活用について)。誤りを見つけた場合は訂正のご連絡をお願いします。

この記事の編集責任者

田中智大

AIデジマ編集長/株式会社ドイル 代表取締役

株式会社ドイル代表。元Googleで広告営業・コンサルティングに従事し500社以上を担当。広告運用とAIエージェント開発を手がける。