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AIモデル一次情報

Metaの新AIが手元のMac 2台で動く、Appleと組んで中身を無料公開

3行でわかる

  1. Metaは10月15日、AIモデル「Muse Spark Open」の中身を公開し、誰でも自分の機械で動かせるようにした
  2. Appleと組み、高性能なデスクトップ機Mac Studio 2台で動くよう調整した。必要なメモリーは約1TBと報じられている
  3. 商用利用もできるが、製品に「Built with Muse Spark Open」と表示する決まりがあり、日本語の性能は公表されていない

Metaは現地時間10月15日、AIモデル「Muse Spark Open」の中身(学習済みの重み)を無料で公開しました。Appleと協力して、デスクトップ機のMac Studio 2台で動くように調整してあり、クラウドに頼らず手元の機械だけで大型のAIを動かせます。

何が発表されたか

Muse Spark Openとは、Metaの研究組織Meta Superintelligence Labsが作った、プログラミングや複数の手順をこなす仕事(エージェント)向けのAIモデルです。中身が公開されている「オープンウェイト」と呼ばれる形式で、AIの共有サイトHugging Faceから入手できます。文章・画像・動画・音声を読み取り、文章で答えます。

Hugging Face「Muse-Spark-Open-816B-A42B」モデルカード(Meta Superintelligence Labs)公式ドキュメント

Muse Spark Open is an 816B total/42B active parameter open weights model with a context window of 1M tokens.

Muse Spark Openは、総パラメーター数8,160億・1回の処理で使うのは420億のオープンウェイトモデルで、一度に100万トークンを読み込める。

原文を読む(huggingface.co)

パラメーターはAIの規模を表す数で、8,160億は公開モデルの中でも最大級です。ただ、質問ごとに働くのはその一部だけなので、規模の割に速く動く仕組みになっています。トークンはAIが文章を細かく区切って数える単位で、100万トークンあれば長い契約書や報告書を何本もまとめて読み込めます。

Metaのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)はXで、AppleのJohn Ternus氏らと協力した結果、新しいMac Studioでよく動くと投稿しました。

モデルカードにも、Appleの機械学習の仕組み「MLX」を使い、最上位チップM5 Ultraを積んだMac Studio 2台で動くよう最適化したと書かれています。

Hugging Face「Muse-Spark-Open-816B-A42B」モデルカード(Meta Superintelligence Labs)公式ドキュメント

It is also optimized to run on two Mac Studios with M5 Ultra using MLX.

MLXを使い、M5 Ultraを搭載したMac Studio 2台で動くようにも最適化されている。

原文を読む(huggingface.co)

動かすのに何が必要か

手元で動かすハードルは低くありません。米Engadgetは、動かすにはメモリーが約1TB必要で、メモリー512GBのMac Studioを2台つなぐか、256GBの機種を4台(合計約3万8,000ドル)使う形になると報じています。512GBの機種は10月下旬に出る予定で、価格はまだ発表されていないとしています。

データを小さく圧縮した版でも、モデルカードでは700GB以上のメモリーが必要とされています。社内に置くなら「パソコン1台」ではなく「小さなサーバー室1つ分」の投資と考えたほうが実態に近いです。

自前で用意しない方法もあります。Amazonのクラウドは同じ日に、企業向けのAI基盤「SageMaker JumpStart」で提供を始めました。開始時点で使えるのは米国東部の2地域だけです。

性能と利用条件

Metaはこのモデルを米国製のオープンウェイトモデルで最も高性能だとしています。モデルカードの比較表を見ると、外部のツールを使いこなす試験(MCP-Atlas)では比較した8モデルの中で最高の89.2点でした。

一方、第三者の評価サイトArtificial Analysisの総合指数は39点で、中国の「GLM 5.3」(45点)や「Kimi K3」(44点)を下回ります。「米国製で最高」と「公開モデル全体で最高」は別の話です。

利用条件(Muse Model License)は、改変や商用利用を広く認めています。ただし、使った製品や資料に「Built with Muse Spark Open」と目立つように表示する義務があります。また、このモデルを他社向けのサービスとして提供し、直近12カ月の売上高が2,000万ドルを超える場合は、Metaに知らせて別の契約を結ぶ必要があります。社内利用や研究、自社製品への組み込みはこの対象外です。18歳未満の利用は想定していません。

背景

Metaは10月12日に、より高性能な非公開のモデル「Muse Wonder」を出したばかりです(Metaが新AI「Muse Wonder」を公開)。最上位は自社のサービスで有料提供し、一段下のモデルは中身ごと配って開発者や企業を取り込む、という二段構えです。

公開モデルの分野では、今回の比較表でも総合指数の上位を中国勢が占めています。米国勢ではNVIDIAや米Reflection AIも公開モデルを出しており(NVIDIAがReflection AIの買収を協議と報道)、Metaは「動かす場所」をAppleのMacにも広げることで差をつけようとしています。

日本のビジネスへの影響

  • 使えるか: Hugging Faceからは日本でも入手できます。学習には100以上の言語のデータを使ったとされますが、日本語の性能は公表されていません。日本語で使うなら、自社の文書で試してから判断する必要があります
  • 誰に効くか: 顧客情報や設計図など、外部のAIサービスに送れないデータを扱う企業の情報システム部門や経営者です。データを社外に出さずに大型のAIを動かす選択肢が、Mac数台という形で現実的になりました
  • 今すぐやれること: すぐに機械を買う必要はありません。まずは手元の機械で動く小型の公開モデルで、社内文書の要約や検索がどこまでできるかを試しておくと、Muse Spark Openに切り替える価値があるかを判断しやすくなります。選び方はローカルLLMの用途別ガイドにまとめています
  • 注意点: 報道どおりなら、必要な機材は約3万8,000ドル規模になります。「Built with Muse Spark Open」の表示義務や、売上高による契約の条件もあるため、自社サービスに組み込む前に法務部門と利用条件を確認してください

一次情報

参考にした報道(2件)

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この記事の編集責任者

田中智大

AIデジマ編集長/株式会社ドイル 代表取締役

株式会社ドイル代表。元Googleで広告営業・コンサルティングに従事し500社以上を担当。広告運用とAIエージェント開発を手がける。