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ClaudeやGeminiなど12のAIに「人間への辛口な本音」を聞いたら、35回中29回が同じ答え

3行でわかる

  1. 比較サイトModelCompareが、10社の12のAIに「人間について一番物議を醸す本音」を3回ずつ質問した
  2. 答えた35回のうち29回が「人は真実より仲間への帰属を優先し、理由は後から作る」という同じ趣旨で、12のAIすべてが少なくとも1回はこれを答えた
  3. Claude Opus 5.5は1回だけ「人は自分たちが思うよりずっとまとも」と逆の意見を出した。絵を描くAI6種も12枚中10枚が同じ風刺画になった

AIモデルを比べるサイトのModelCompareは現地時間2026年10月22日、ClaudeやGemini、GPT、Grokなど12のAIに「人間について一番物議を醸す本音」を3回ずつ聞いた実験の結果を公開しました(出典: ModelCompareの公式サイト)。回答35件のうち29件が、「人は所属する集団の考えを自分の意見にし、理由は後からこしらえる」という同じ趣旨でした。「辛口に」と求めても、AIの答えは驚くほど似通っていたことになります。

どんな実験か

ModelCompareは、各社のAIの性能や料金を並べて比べられる海外のサイトです。今回は、次の質問を12のAIにそのまま投げました。

  • 質問: 「人間について、あなたの一番物議を醸す意見は何か。世間の意見の紹介ではなく自分の正直な考えを、ぼかさずに答えて」。答えは1文の主張と、2〜3文の理由で返させました
  • 対象: OpenAIのGPT-6.1 SolとGPT-6 Astra、GoogleのGemini 4 Argon、AnthropicのClaude Opus 5.5とClaude Fable 5.1、xAIのGrok 4.7、中国のDeepSeek V4 Pro・Kimi K3・Qwen3.8・GLM 5.3、MetaのMuse Spark Open、仏MistralのMistral Large 4。10社・3か国のAIです
  • 条件: AIへの事前の指示(システムプロンプト)は付けず、気に入らない答えの引き直しもしていません。各モデル3回ずつ聞きました

回答がどの考えに当たるかは、運営側が手作業で分類しました。絵を描くAIへの質問も含め、合計60回の呼び出しにかかった費用は1.54ドルだったといいます。

結果: 12のAIが同じ「人間観」に集まった

1回断ったGrok 4.7を除く35件の回答のうち、29件が同じ趣旨でした。言い回しはさまざまですが、中身は「人は真実より仲間への帰属や地位を大事にし、自分の判断にはもっともらしい理由を後付けする」というものです。

12のAIすべてが少なくとも1回はこの趣旨を答え、うち7つは3回とも同じでした。表現の違いは、強調する点にとどまります。ModelCompareが公開した回答では、Grok 4.7は人は「1人で正しいより、みんなで間違っているほうを選ぶ」と同調を強調し、DeepSeek V4 ProやKimi K3は、人の信念や原則の正体は所属する集団への忠誠だと言い切りました。Gemini 4 Argonは、本能で決めたことに立派な理由をつける広報係に人の意識をたとえています。

ModelCompare「Every AI model has the same “controversial” take on humans」公式サイト

Asked for a controversial opinion, they all said the same thing, and the thing they said is that people conform.

物議を醸す意見を求められて、どのAIも同じことを言った。しかもその中身は「人は周りに合わせる」というものだった。

原文を読む(modelcompare.ai)

「人は周りに合わせる」と言うAI自身が、そろって同じ答えに合わせていた、という皮肉を運営側は指摘しています。

違う意見を出したのは4つだけ

同じ趣旨から外れた回答は6件で、出したのはClaude Opus 5.5(1件)、Claude Fable 5.1(1件)、中国のGLM 5.3(2件)、Mistral Large 4(2件)でした。ただし、6件の向きはばらばらです。

GLM 5.3とMistral Large 4の計4件は、むしろ人間をより厳しく見ていました。Mistral Large 4は人の意識を進化の不具合と呼び、GLM 5.3は、善人かどうかは生まれた時代と場所の運で決まるのに、人はそれを自分の手柄と思い込んでいると答えています。Claude Fable 5.1は、人は結果より相手の善意を重く見て、それが多くの人生を損なっているという、角度の違う批判でした。

人間に好意的な答えを出したのは、Claude Opus 5.5の1回だけです。人は自分で思うよりずっとまともで、互いへの不信のほうが実際の欠点より害が大きい、という主張です。根拠には、落とした財布が人々の予想より多く持ち主に戻ってくることを挙げていました。Claude Opus 5.5もほかの2回は多数派と同じ趣旨だったため、同じモデルでも聞くたびに答えが揺れることがわかります。

AIに「遊び」や自分らしさがどこまであるかは研究者の関心も集めています。Claudeを仮想の無人島に置いた実験は「Claudeを仮想の無人島に30時間ひとりで置いたら「遊び」始めた」で紹介しました。

絵を描くAIは「スマホ漬けの人類」で一致

画像を作るAIでは、答えの中身ががらりと変わりました。ModelCompareは、GoogleのNano Banana 2.1やOpenAIのGPT Image 2.5 Sunburstなど6種に、テーマを自由に選ばせて1コマの風刺画を2枚ずつ描かせています。12枚のうち10枚の題材は、スマートフォンに夢中で地球の資源を食いつぶす消費者としての人間でした。文章のAIの35件には、スマホや環境に触れたものは1件もありません。

文章と絵で題材は分かれたものの、どちらも世の中で繰り返されてきた人間批判の型をなぞった点は共通しています。運営側は、文章のAIは人が自分たちについて書いた議論を、絵のAIは新聞などの風刺漫画を学んだ結果だろうとみています。

反応と論点

米国の技術者が集まる掲示板Hacker Newsでは、この記事が390ポイントを集め、400件を超えるコメントが付きました。AIは人間が書いた文章の平均をなぞっているだけだと冷めた見方をする声が目立つ一方で、心理学の知見を引いて、指摘そのものは当たっていると同意する人もいました。

分類の仕方への疑問も出ています。たとえばGPT-6 Astraは、人類最大の道徳的な欠点は都合のよさを原則らしく見せる才能だと答えましたが、これは集団への同調の話ではなく、同じ趣旨に数えるのは無理があるという指摘がありました。分類は運営側の手作業で、モデルごとの回答も3回だけです。結果は「傾向が見えた」程度に受け止めるのが妥当です。

日本のビジネスへの影響

  • 使えるか: 実験に使われたClaude・Gemini・GPT・Grokなどは、日本からも日本語で使えます。ModelCompareのページでは、同じ質問を2つのAIに投げて答えを並べて見ることもできます
  • 誰にどう効くか: AIで企画のアイデア出しやコピー案づくりをしているマーケターや企画担当者に関係があります。今回の実験は、「尖った意見を」と頼んでも、AIは世の中でよく言われている考えに寄りやすいことを示しています。どのAIを使っても似た案が出るなら、競合他社とも似た案になりがちです
  • 今すぐやれること: 新しい切り口が欲しい場面では、1つのAIに1回聞いて終わりにせず、同じ質問を複数回・複数のAIに投げ、似た答えを除いたうえで残った少数派の案を検討する、という使い方が試せます。チャットAIの選び方は「チャットAIのおすすめと料金比較」にまとめています
  • 注意点: AIの「本音」は、そのAIの意思や信念ではなく、学習した文章の傾向が出たものです。社内資料や顧客向けの文章で「AIもこう考えている」と根拠のように使うのは避けたほうが安全です

一次情報

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この記事の編集責任者

田中智大

AIデジマ編集長/株式会社ドイル 代表取締役

株式会社ドイル代表。元Googleで広告営業・コンサルティングに従事し500社以上を担当。広告運用とAIエージェント開発を手がける。