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ChatGPTを時々使う人は世界の2割、AIの本当の実力を知るのは0.2% Karpathy氏が試算

画像はAIで生成したイメージです

3行でわかる

  1. OpenAIの創業メンバーAndrej Karpathy氏は、AIの実力の見え方の差が4月より広がっているとXに投稿した
  2. 同氏の試算では、世界の約75%はAIにほぼ触れておらず、約2割は無料版のChatGPTなどを時々使うだけで、最新AIに大仕事を任せる人は約0.2%
  3. AIが急に伸びているのは答え合わせができてお金になるプログラミングや数学で、文章作成や相談などの伸びは緩やかだと同氏は説明している

OpenAIの創業メンバーで、テスラでAI部門を率いたAndrej Karpathy氏が現地時間10月11日、AIの実力についての人々の理解の差が「広がっている」とXに投稿しました。同氏のざっくりした試算では、最新のAIに何週間分もの大きな仕事を任せて実力を目の当たりにしている人は、世界の約0.2%にとどまります。投稿は日本時間12日午前までに180万回以上閲覧されています。

4つの層に分かれる「漏斗」

Karpathy氏は、AIの見え方の違いを、上が広く下が細い漏斗(じょうご)にたとえました。上から順に、次の4つの層です。数字は本人が「ざっくりの計算」と断ったうえでの目安です。

層 人数(世界人口に占める割合) どう見えているか
ほぼ触れていない 約60億人(約75%) AIの対話サービスにほとんど触れたことがない
無料版を時々使う 10億〜20億人(約20%) ChatGPTのような無料のサービスを、少し賢い検索や文章の手伝いとして使う
仕事で最新AIを使う技術者 約2,000万人(約0.2%) プログラミングや数学で、何週間・何カ月もかかった大仕事を指示ひとつでAIに任せている
AI企業の内部の人 約5,000人 公開前の最先端のAIを社内で使っている

同じAIでも、見えている景色が違う

この表でいちばん差が大きいのは、2つ目と3つ目の層の間です。無料版を時々使う人にとって、AIは少し賢い検索の延長です。同氏は、技術職でない友人の多くが「AIはあまり使い道がない」と言うのも無理はないとしています。経営者のように人と話す時間が長い専門職も同じ層に入り、AIの変化を頭では理解していても、実感としては「又聞き」になりやすいという見方です。

対照的なのが、Karpathy氏自身がいる3つ目の層です。1年も前ではない頃は自分でコードを1文字ずつ打っていたのに、今はアプリ作りやアプリの丸ごとの複製までAIの作業チームに任せられるようになった、と同氏は振り返っています。AIデジマでも、開発者がClaude CodeとCodexに人気ゲームの中身の復元を3カ月任せた事例を紹介しました。

差を生む3つの要因

Karpathy氏の説明でまず目を引くのは、AIの伸び方に分野ごとのでこぼこがある点です。これは4月9日の投稿でも詳しく書かれていました。プログラムは「動いたかどうか」で答え合わせができるので、AIに練習を積ませやすい。文章の良し悪しは判定が難しく、検索・文章作成・相談といった日常の使い方は、AI企業がお金をかけて伸ばす優先度も低い、という説明です。今回の投稿は、デジタルで正解を機械的に確かめられ、お金になる分野ほど伸びるとして、この4月の投稿を引用したうえで、差は縮まるどころか広がったと述べています。

同氏はこれに加えて、使う側の事情も挙げています。短い質問を投げるだけでは、AIの力はほとんど試されません。本気で取り組みたい大きく難しい課題を抱えているかどうかで、見える実力が変わるという指摘です。もう1つは、無料版・有料版・企業の内部だけの版という、触れられる版の違いです。

反応と論点

米国の技術者が集まる掲示板Hacker Newsでは、225ポイント・360件のコメントが付き、賛否が分かれました。

  • うなずく声: ここ数カ月でプログラミングでのAIの使い勝手が大きく変わったという声や、旅行の計画などで毎日使っていて、最新のAIは根拠を示して答えるという声がありました
  • 疑問の声: 住宅や戦争のような社会の課題は「頭のいい人が足りない」から解けないのではない、という反論が目立ちました。プログラミングは結果がすぐ確かめられる特殊な分野で、ほかの仕事に同じ効果が広がるとは限らないという指摘や、自分の専門外の分野だとAIが天才に見えるだけではないか、という意見もありました

Karpathy氏自身も、ほとんどの専門職にとってAIの効果はまだ「控えめ」だと認めています。一方で、いちばん細い4つ目の層、つまりAI企業の内部では、何千体ものAIが何週間も協力して巨大なソフトを作ったり、数学の未解決問題を進めたりしていると同氏は書きます。そこでは人間の確認や理解が追いつかなくなり始めており、OpenAIが公開した数学の論文722本も、数学者がしばらく読み込むことになるだろうとしています。多くの人には少し間の抜けた対話AIにしか見えないものが、ごく一部の人には急な上り坂に見えている。同氏はこの同時進行を「この時代の奇妙さ」と呼びました。

日本のビジネスへの影響

  • 使えるか: 投稿で3つ目の層の道具として名前が挙がったClaude CodeやCodexは、日本からも有料プランで使えます。CodexはChatGPTの無料版でも試せます
  • 誰にどう効くか: AI導入の判断をする経営者と事業責任者です。無料版を少し試して「まだ使えない」と判断していると、同じ会社の開発部門が見ている景色とずれる可能性があります。逆に、技術者の熱気をそのまま営業や企画の仕事に当てはめるのも危うく、分野による差を前提に考える必要があります
  • 今すぐやれること: 社内の「本気で困っている大きな課題」を1つ選び、有料版の最新モデルに数時間かけて任せてみることです。短い質問を何十回もするより、AIの実力の上限がつかめます。どのサービスを選ぶかは対話AIのガイドにまとめています
  • 注意点: 人数の数字は本人が断っているとおり大まかな見立てで、調査に基づくものではありません。また、AIが得意な分野でも、出てきた成果を人が確かめる手間は残ります。同氏自身が、人間の確認が追いつかなくなり始めていると書いている点は、導入を急ぐときこそ意識しておくべきです

一次情報

AIデジマは、公式発表・X投稿・論文などの一次情報を起点に、複数の情報源を照合して日本語でまとめています。情報の収集・翻訳・下書き・照合にはAIを使い、編集方針と最終責任は編集長が負います(AIの活用について)。誤りを見つけた場合は訂正のご連絡をお願いします。

この記事の編集責任者

田中智大

AIデジマ編集長/株式会社ドイル 代表取締役

株式会社ドイル代表。元Googleで広告営業・コンサルティングに従事し500社以上を担当。広告運用とAIエージェント開発を手がける。