AIの面接官が50万回の採用面接をこなす、米HackerRankが「Chakra」を企業に正式提供

3行でわかる
- 米HackerRankが、AIが面接官を務める採用面接サービス「Chakra」を企業向けに正式提供した
- 試験提供の期間に50万回以上の面接をこなし、受けた人の評価は5点満点で平均4.8だったと同社は公表している
- 面接中にAIを使うことを認め、AIへの指示の出し方や答えの見極め方まで採点する。合否を決めるのは人間のまま
技術者向けの採用試験サービスを手がける米HackerRankは現地時間10月5日、AIが面接官を務める採用面接サービス「Chakra(チャクラ)」を企業向けに正式提供したと、TechCrunchなどが報じました。約6カ月の試験提供の間に、すでに50万回以上の面接をこなしています。
何が始まったか
Chakraとは、AIが受験者と会話しながら面接を進め、実際の仕事に近い課題を解かせて、その様子から能力を採点する面接サービスです。受験者は都合のよい時間に受けられます。
HackerRankの公式ページは、利用の規模と受験者の評価をこう示しています。
500k+ candidates have been interviewed by Chakra, and they rate the experience 4.8/5 on average.
Chakraの面接を受けた候補者は50万人を超え、体験の評価は5点満点で平均4.8です。
原文を読む(hackerrank.com)TechCrunchによると、試験提供には米データ基盤大手のSnowflake、AI企業のSnorkel、仏ITサービス大手のCapgeminiなどが参加しました。
面接の流れは次のとおりです。
- 冒頭の質問に答えると、AIが答えの中身に合わせて追加の質問をする
- 実際の仕事に近い課題(既存の社内システムの不具合を直す、など)を、AIの手助けを使いながら解く
- 解き終わると、AIが「なぜその方法を選んだか」を問いただす
- 企業には、能力ごとの点数と、その根拠になった会話や作業の記録をまとめた報告書が届く
公式ページで選べる職種には、AIエンジニアのほか、AIを使う製品の企画担当や、デザイナーの責任者も並んでいます。企業は求人票をもとに、自社向けの質問と採点基準を作ることもできます。
何が新しいか:AIを使う前提で採点する
従来のプログラミング試験は、完成したコードの出来を見るのが中心でした。TechCrunchによると、HackerRankのヴィヴェック・ラヴィサンカールCEOは、AIを使えば誰でも成果物を作れるようになったため、成果物だけを評価するやり方は通用しなくなったという趣旨の説明をしています。
そこでChakraは、面接中のAIの利用を認めたうえで、問題をどうAIに伝えるか、AIの答えをどう見極めて直すかといった「AIの使いこなし方」も採点します。公式ページの採点例には、出来上がりはそれらしいが、受験者がAIの出した答えを理解も説明もできていない、という厳しい評価も載っています。
不正の扱いも変わりました。
Integrity isn’t about whether you use AI or not. It’s about following the rules.
公正さとは、AIを使うかどうかではありません。ルールを守るかどうかです。
原文を読む(hackerrank.com)Chakraは、認められていない回答支援アプリや別の端末の使用、ほかの人の手助けなどを検知して知らせます。TechCrunchによると、不審な行動の検知件数は従来の試験より70〜80%少なかったといいます。AIの利用を最初から認めたことで、隠れて使う理由が減ったという見方です。
背景
HackerRankは2月にChakraを発表し、発表イベントには67の顧客企業と開発者が会場に集まり、1,800人以上がオンラインで視聴したとXで報告していました。今回はその試験提供を終え、正式な製品にした形です。
A few days back, we launched Chakra, our AI Interviewer.
— HackerRank (@hackerrank) 2026年2月13日
67 customers and developers in person. 1,800+ on the livestream.
Here's how it went. pic.twitter.com/7UaGDFMsUh
TechCrunchによると、HackerRankはAmazonやNVIDIAなど3,000社以上の企業を顧客に持ち、ラヴィサンカールCEOはChakraを今後の会社の主力に据える考えを示しています。
反応と論点
懸念もあります。Runtime Wireは、Chakraの点数が入社後の仕事ぶりを本当に予測できるのか、属性によって不公平な点数にならないかについて、第三者による検証はまだ示されていないと指摘しています。50万回という数字が延べの面接回数なのか、受験者の人数なのかも明らかにされていないとしています。
HackerRankは公式ページで、性別や言い回しを変えても同じ点数になるかを試していること、人間の専門家の採点との一致度を測っていること、ニューヨーク市の「採用AIの偏り監査」を定めた条例に沿って第三者の監査を受けていることを説明しています。受験者のデータをAIの学習に使わないとも明記しています。最終的な合否は人間が判断する仕組みです。
日本のビジネスへの影響
- 使えるか: 公式ページに料金は公開されておらず、日本語での面接に対応するかも明らかにされていません。現時点では、英語で技術者を採用する外資系企業や海外拠点向けのサービスと考えるのが現実的です。
- 誰にどう効くか: 人事・採用担当者と、エンジニアやAI人材の採用に関わる現場の管理職に関係があります。「AIを使わせずに試す」から「AIを使わせて、使い方を見る」へ、評価の考え方そのものが変わり始めています。
- 今すぐやれること: 自社の技術系の面接や筆記試験で、AIの利用を禁止しているのか、認めているのかを確認しておきましょう。認めるなら、Chakraの採点例のように「AIの答えを自分の言葉で説明できるか」を問う質問を1つ足すだけでも、評価の精度は上がります。
- 注意点: AIが面接や採点をする場合、受験者への事前の説明が欠かせません。日本でも、採用の判断にAIを使うことには、個人情報の扱いや説明責任の点で慎重さが求められます。面接の中で候補者が使うようなAIの開発ツールを知っておくなら、コーディングAIのおすすめと料金比較が参考になります。
一次情報
- 公式サイトHackerRankChakra: Agentic AI Interviewer for Tech Hiring
- X投稿X @hackerrankHackerRank の投稿(Chakraの発表イベント)
参考にした報道(2件)
AIデジマは、公式発表・X投稿・論文などの一次情報を起点に、複数の情報源を照合して日本語でまとめています。情報の収集・翻訳・下書き・照合にはAIを使い、編集方針と最終責任は編集長が負います(AIの活用について)。誤りを見つけた場合は訂正のご連絡をお願いします。