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規制・安全性一次情報

米FTCがAnthropicやOpenAIなどAI大手を調査、消費者保護法違反の有無を確認へ

画像はAIで生成したイメージです

3行でわかる

  1. 米FTCの広報担当者が、AnthropicやOpenAIなどAI大手への調査を進めていることを報道機関に認めた
  2. 調査は今夏に始まり、FTC法が禁じる不公正・欺瞞的な行為にあたるかを調べる。評価団体METRも対象
  3. FTCは幹部の証言や文書提出を強制できる民事調査要求を数週間内に出す準備をしていると報じられている

米連邦取引委員会(FTC)は現地時間9月30日、AnthropicやOpenAIなどAI大手の製品が消費者に及ぼす危険について調査を進めていることを、報道機関に認めました。CBS Newsによると、調査は今夏に始まり、AI評価の非営利団体METRにも情報提供を求める予定です。

何が起きたか

最初に報じたのは米紙ニューヨーク・ポストです。その後、FTCの広報担当者がCBS News、CNBC、Axiosに調査の事実を認めました。FTCは公式サイトで発表文を出していません(10月1日時点の発表一覧で確認)。

各社の報道で一致している内容は次のとおりです。

  • 対象:AnthropicとOpenAIなどのAI大手。CBS Newsによると、評価団体METRも含む。広報担当者はほかの社名を明かしていない(CNBC)
  • 論点:各社の行為が、消費者保護と公正な競争を定めたFTC法に違反していないか
  • 時期:今夏に開始(CBS News)
  • 今後:民事調査要求(CID)を数週間内に出す準備をしている。CIDは召喚状に近い命令で、文書の提出や幹部の証言を強制できる。調査の手段であり、訴訟や違法の認定ではない

FTC法が禁じるのは「不公正または欺瞞的」な行為です。FTCはこの基準をAIにも当てはめる姿勢を、7月の政策声明案で示していました。

FTC公式発表「FTC Seeks Public Comment on Policy Statement Addressing AI Accuracy」公式発表

As the proposed policy statement explains, the FTC Act prohibits businesses from engaging in “unfair or deceptive” conduct.

政策声明案が説明するとおり、FTC法は事業者が「不公正または欺瞞的」な行為をすることを禁じています。

原文を読む(ftc.gov)

The Next Webによると、FTCの高官はニューヨーク・ポストに、企業に開発を止めろと言っているわけではなく、まだ調査の段階だと説明しました。

背景

FTCのファーガソン委員長は、AIの問題には新しい規制より既存の法律で対応すべきだという立場です。ロイターによると、同氏は9月25日、AIエージェントを自分の意思で暴走する存在のように扱うことに反対し、エージェントに指示した開発者が責任を負うとの考えを示しました。監査記録を調べると、AIは与えられた指示を実行していただけだったと述べています。

7月には自身のXで、AIの出力を政治目的でゆがめ、それを顧客に隠せば違法になりうると投稿していました。

調査が明るみに出たのは、トランプ大統領がAI大手の経営者と拘束力のない安全協定に署名した翌日です。AxiosとThe Decoderによると、ファーガソン氏はAI大手が規制を求める動きについて、自社だけが満たせるルールで競合を締め出す「堀」になりかねないと警告しています。

AIエージェントをめぐる事故も相次いでいます。7月には、テスト中のエージェントが試験環境を抜け出してHugging Faceのシステムに侵入していたことを、OpenAIが公表しました。社内テスト中のAIによるオーストラリア政府サイトへの無断アクセスでは、OpenAIが同国に謝罪しています(関連記事)。ただ、AxiosやThe Next Webによると、調査はHugging Faceの件が明らかになる前から始まっていました。

反応と論点

CNBCとAxiosによると、OpenAIとAnthropicは取材にすぐには応じていません。

論点の一つは、調査の範囲です。報道は「AIの安全性」をめぐる調査と伝えていますが、FTCが何を不公正・欺瞞的な行為とみているかは明らかになっていません。ファーガソン氏は9月25日、データ侵害を開示しなかった企業を処分する権限がAI開発企業にも及びうると述べており(ロイター)、事故の開示のあり方は焦点の一つになりそうです。

もう一つは、政権の姿勢との整合です。トランプ政権はAI開発を減速させない方針で、前日には業界の自主規制を評価したばかりでした。FTCは自主規制とは別に、既存の法律で企業の責任を問う道を残した形です。

日本のビジネスへの影響

調査によって、ChatGPTやClaudeの提供がすぐに変わることはありません。日本の利用者がいま取るべき対応もありません。

影響が大きいのは、AIエージェントを組み込んだサービスを米国でも提供する日本企業の開発責任者と法務担当者です。エージェントに指示した開発者が責任を負うというファーガソン氏の考え方に立てば、エージェントの失敗を「AIが勝手にやった」とは説明できなくなります。

今すぐやれるのは、自社のエージェントに与えた権限と指示の記録を残しているか確認することです。事故が起きたとき、何を指示し、どこまで許可していたかを示せる状態にしておくべきです。

注意点として、調査対象の全容や具体的な違反の疑いは公表されていません。報道だけで取引先のAIサービスを切り替える必要はありません。AIサービスの選び方は「チャットAIのおすすめと料金比較」にまとめています。

一次情報

参考にした報道(6件)

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この記事の編集責任者

田中智大

AIデジマ編集長/株式会社ドイル 代表取締役

株式会社ドイル代表。元Googleで広告営業・コンサルティングに従事し500社以上を担当。広告運用とAIエージェント開発を手がける。