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ElevenLabsの評価額が220億ドルに倍増、企業向け音声エージェントが成長をけん引

画像はAIで生成したイメージです

3行でわかる

  1. ElevenLabsは3億ドルの従業員向けテンダーオファーを完了し、評価額は2月の110億ドルの2倍の220億ドルになった
  2. 取引はWellingtonとT. Rowe Priceが主導し、Goldman SachsやGIC、EQTなどが新たに株主に加わった
  3. 売上に占める企業向けは55%で、音声エージェントElevenAgentsの会話数は2月から3倍の週1500万件超に

音声AIのElevenLabsは現地時間9月30日、従業員が保有株の一部を投資家に売る3億ドル規模のテンダーオファー(既存株の買い付け)を完了し、評価額が220億ドルになったと発表しました。2月のシリーズDで付いた110億ドルの2倍です。取引は大手機関投資家のWellingtonとT. Rowe Priceが主導しました。

何が発表されたか

今回の取引は、会社が新たに資金を集めるものではなく、従業員などが持つ株を投資家が買い取る仕組みです。EQT、Goldman Sachs、GIC、OTPP、Sapphire Ventures、BDT & MSDが初めて株主になり、Andreessen HorowitzやLightspeed、ICONIQなど既存の投資家も加わりました。

ElevenLabsは成長の中心が企業向けに移ったと説明しています。

ElevenLabs公式ブログ「ElevenLabs valuation increases to $22 billion fueled by enterprise demand for conversational agents」公式発表

This shift is driving much of our growth, with enterprise now accounting for 55% of our revenue, as businesses adopt ElevenAgents to support their customers and employees.

この変化が成長の大部分を生んでおり、企業が顧客や従業員の対応にElevenAgentsを導入するなかで、いまや売上の55%を企業向けが占めています。

原文を読む(elevenlabs.io)

ElevenAgentsとは、企業が自社の知識やシステムとつないだ会話型のAIエージェントを、電話やチャットで動かすための基盤です。発表に示された主な数字は次のとおりです。

  • ElevenAgentsの会話数は週1500万件超で、2月から3倍。同期間にElevenAgentsの年間経常収益(ARR)も3倍超
  • 世界のIT大手上位10社のうち5社、保険大手上位10社のうち5社、通信大手上位10社のうち4社が日常業務で利用
  • 自社の顧客分析では、音声エージェントはチャットのエージェントより平均31%早く問題を解決
  • 社員数は800人超

導入例として、決済のStripe、独通信大手のDeutsche Telekom、DoorDash傘下で飲食店向けのSevenRooms、ウクライナとギリシャの政府を挙げています。製品面では、9月28日に読み上げ(音声合成)モデル「Eleven v4」と低遅延版の「Eleven v4 Turbo」を公開したばかりです。

共同創業者のマティ・スタニシェフスキCEOは発表文で、AIは人と人が接するのと同じように人と接するべきだと述べ、成長に合わせて社員が自ら生んだ価値の一部を受け取れるようにすることが大切だと説明しました。

背景

ElevenLabsは2022年創業で、ニューヨークとロンドンに拠点を置きます。評価額は短期間で大きく伸びています。

時期 内容 評価額
2022年 最初の資金調達 900万ドル
2025年9月 1億ドルの従業員向けテンダー 66億ドル
2026年2月 5億ドルのシリーズD 110億ドル
2026年9月 3億ドルの従業員向けテンダー 220億ドル

The Next Webは、今回の取引はブルームバーグが7月に協議中と報じていたものだと伝えています。9月8日には、決済大手Adyenで2018年の上場に関わり、2023年から財務責任者を務めたイーサン・タンドウスキー氏を最高財務責任者(CFO)に迎えています。

反応と論点

TechCrunchは、急成長するAIスタートアップの間で、社員に株を現金化する機会を与えて競合への流出を防ぐ動きが広がっており、今回もその一例だと位置づけています。評価額220億ドルで、ElevenLabsは欧州で最も価値の高いスタートアップの仲間入りをしたとも書いています。

一方で、今回の評価額は新規の資金調達ではなく、既存株の売買で付いた値段です。ARRの伸びや業務での利用社数はいずれも会社の発表で、売上の総額は示されていません。音声エージェントの解決スピードも、ElevenLabsが自社の顧客を分析した結果です。音声合成ではGoogleやOpenAIも自社のモデルを提供しており、企業向けの音声エージェントを巡る競争は激しくなっています。

日本のビジネスへの影響

ElevenLabsは日本からも使え、公式ドキュメントではEleven v4の対応言語に日本語が含まれています。料金は無料プランがあり、商用ライセンス付きの有料プランは月6ドルのStarterからです。ただし、ベンチマークの評価が日本語の自然さをそのまま示すとは限らないため、自社の原稿で聞き比べる必要があります。

影響が大きいのは、コールセンターやカスタマーサポートの責任者と、動画広告のナレーションを外注しているマーケターです。今回の発表は、海外では音声エージェントが返品対応や保険の更新、通信プランの変更といった定型の電話対応にすでに入っていることを示しています。まずは問い合わせの多い定型の質問を数十件選び、ElevenAgentsで夜間や休日の一次対応を試作して、解決率と顧客の反応を測るのが現実的な一手です。

注意点は、通話内容に含まれる個人情報の扱いと、声の権利です。声の複製を使うなら本人の同意を書面で取り、通話データの保存場所や保存期間を契約で確認してください。音声合成サービスの料金や日本語対応の比較は、音声合成・AI読み上げのおすすめと料金比較にまとめています。

一次情報

参考にした報道(3件)

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この記事の編集責任者

田中智大

AIデジマ編集長/株式会社ドイル 代表取締役

株式会社ドイル代表。元Googleで広告営業・コンサルティングに従事し500社以上を担当。広告運用とAIエージェント開発を手がける。