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DoorDashがテキストで注文できるAIエージェントを開始、アプリを開かず決済まで完結

画像はAIで生成したイメージです

3行でわかる

  1. DoorDashは、テキストで注文内容を送るとAIが店探しからカート作成、決済まで代行する機能のベータ版を米国で始めた
  2. 「いつもの」と送れば過去の注文を理解し、グループ注文では人ごとの食事制限や数量もまとめて扱える
  3. 同日には企業がAIエージェントから注文できる接続口(MCP)のベータ版も発表し、アプリの外での注文を広げる

米フードデリバリー大手のDoorDashは現地時間9月30日、テキストメッセージで食べたい物を送るだけで、AIエージェントが店や商品を探してカートを作り、決済まで済ませる機能を発表しました。まず米国の利用者を対象に、順番待ちリスト(ウェイトリスト)に申し込んだ人からベータ版を提供します。アプリを開かずに買い物を完結させる仕組みで、DoorDashは同日、企業のAIエージェントから注文できる接続口も公開しました。

何が発表されたか

新機能は、6月に始めたアプリ内のAIアシスタント「Ask DoorDash」を、アプリの外のテキスト画面に広げたものです。TechCrunchやGizmodoによると、AppleのメッセージAppでやり取りします。DoorDashは使い方を次のように説明しています。

DoorDash公式発表「Skip The App: Now You Can Just Text DoorDash」公式発表

No app, no browsing. Just text DoorDash what you want, the way you'd send a message to a friend, and it finds it, builds the cart, and checks out for you.

アプリも、一覧を眺める手間もいりません。友人にメッセージを送るようにDoorDashに欲しい物を送れば、探して、カートを作り、会計まで済ませます。

原文を読む(about.doordash.com)

エージェントの役割は、大きく3つに分けられます。

1つ目は、注文の受け取り方です。特定の料理を指定しても、いまの気分に合う近所の店を選んでほしいと伝えてもよく、エージェントが近隣の店とメニューを調べてカートを提案します。すすめる料理の写真は、DoorDashアプリの店舗ページからメッセージで送られてきます。大人数で頼むときは、人によって違う食事制限や数量を1つの注文にまとめられます。

2つ目は、過去の注文を前提にすることです。「order my usual」と送れば金曜夜の定番だと解釈し、料理名も店名も言い直す必要がありません。パクチー抜きやソース追加といった細かな好みも引き継ぎます。利用者が許可すれば、日々の習慣をもとに「いつものコーヒーを頼むか」とエージェントの側から尋ねてきます。

3つ目は、確定までメッセージの中で終わることです。注文内容の確認と決済をスレッドを離れずに済ませるため、アプリを開く場面がありません。

共同創業者のアンディ・ファン氏はXで、テキストで頼むだけでDoorDashが注文し、繰り返しの注文から学んでお得な選択肢や新しい店も探すと投稿しました。

アプリ内の食料品の買い物も同時に手を入れました。狙いは買い足しの手間と価格です。よく使う店のページに「いつもの品」をまとめて呼び出す導線を置き、ワンタップでカートを組めるようにしました。カートを作る間は店の棚を即時に調べ、同等でより安い商品があれば置き換えを提案し、会計の直前に節約できる額を示します。DoorDashによると、Ask DoorDash経由の食料品注文の30%超は定期的な買い足しでした。

背景

Ask DoorDashは6月11日に始まった、自分の言葉で検索できるアプリ内の機能です。レシピの写真や買い物メモの画像からカートを作れます。DoorDashが今回あわせて示した3か月分の数字を見ると、効いているのは新規の店との出会いです。利用者は4万店超の新しい飲食店にたどり着き、Ask経由の飲食店注文の半数近くは、その利用者が一度も頼んだことのない店でした。食料品では、カートができるまでの速さが5倍になり、同じ利用者の通常の注文と比べて購入額は約50%、品目数は約60%多くなっています。

同日のイベント「Dash Forward 2026」では、企業向けの「DoorDashコネクタ」のベータ版も発表しました。AIと外部サービスをつなぐ標準規格MCPを使い、社内のAIツールや自作のエージェントが商品を探し、カートを作り、注文して配達を追跡できます。SpaceXAIやVercel、Cognitionなどが先行して使っており、個人開発者向けのコマンドラインツールのベータも広げます。北カリフォルニアでのドローン配送の試験開始も発表しました。

汎用のAIエージェントが買い物まで代行する動きは各社で進んでいます。OpenAIも常時稼働のエージェントを始めたばかりです(OpenAIの「Dots」の記事)。

反応と論点

TechCrunchは、競合のUber EatsやGrubhubに対して優位に立つ狙いがあると分析しています。Business Insiderは、テキストで用事を頼めるAIエージェントが広がっている流れの中に今回の機能を位置づけました。

批判もあります。Gizmodoは、考える手間をなくすことは衝動的な出費を招きかねず、AIに中身を任せて注文したい人がどれだけいるのかと疑問を示しました。The Informationのコラムも、消費者にお金を使わせるAIの力を示す最新の例として取り上げています。Askで作った食料品の注文は購入額が約50%多いというDoorDash自身の数字は、便利さと出費の増加が表裏一体であることも示しています。

日本のビジネスへの影響

今回の機能は米国限定のベータ版で、日本での提供予定は発表されていません。それでも、AIエージェントが利用者の代わりに店や商品を選び、アプリの外で決済まで済ませる流れは、日本の飲食チェーンや小売のマーケターにとって無視できない変化です。

効くのは、出前や通販の販路を持つ飲食・小売のEC担当と販促担当です。AIが「辛くない」「ベジタリアン向け」といった条件で店を選ぶなら、選ばれるかどうかはメニュー名や説明文、写真、アレルギーやオプションの情報がデータとして正確に載っているかで決まります。Askの注文の半数近くが初めての店だったという数字は、AI経由が新規客の入り口になりうることも示しています。

今すぐできるのは、出店している宅配サービスや自社ECの商品情報を見直し、料理の特徴や対応できる食事制限を文章で明記することです。自社で注文の仕組みを持つ企業は、DoorDashのようにMCPでAIエージェントから注文を受ける窓口を用意するかを検討する段階に入っています。

注意点は、定番の注文をAIに固定されると、新しい店が入り込む余地が狭まりうることです。チャット上で注文を確定させる仕組みを日本で作るなら、金額や数量を最後にどう確認させるかの設計が、誤注文の防止と消費者保護の両面で重要になります。

一次情報

参考にした報道(4件)

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この記事の編集責任者

田中智大

AIデジマ編集長/株式会社ドイル 代表取締役

株式会社ドイル代表。元Googleで広告営業・コンサルティングに従事し500社以上を担当。広告運用とAIエージェント開発を手がける。