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Claudeで営業の手間を四半期4万時間削減、シンガポールのGrab Anthropicが同国に拠点と政府覚書

画像はAIで生成したイメージです

3行でわかる

  1. Anthropicがシンガポールに拠点を開き、同国のデジタル開発・情報省とAIの安全性や普及で協力する覚書を結んだ
  2. 配車アプリ大手GrabはClaudeで動く営業支援AIで、営業チームの作業を四半期に約4万時間減らしたという
  3. 政府のIT機関では1,500人超の技術者がClaude Codeを導入。人口あたりのClaude利用はシンガポールが121カ国中2位

Claudeを開発する米Anthropicは現地時間10月14日、シンガポールに新しい拠点を開き、同国のデジタル開発・情報省(MDDI)とAIの安全性や普及で協力する覚書を結んだと発表しました。あわせて現地の導入事例を公表し、配車アプリ大手GrabではClaudeで動く営業支援AIが、営業チームの作業を四半期あたり約4万時間減らしていると紹介しています。

何が発表されたか

シンガポールの拠点は、Anthropicにとってアジア太平洋で5つ目です。覚書(MOU。法的な拘束力のない協力の取り決め)は、国際会議「シンガポール国際サイバーウィーク」の場で、MDDIのChng Kai Fong事務次官とAnthropic共同創業者のBen Mann氏が署名しました。Josephine Teoデジタル開発・情報相が立ち会っています。

覚書で協力する分野は大きく3つです。

  • 安全性の評価: シンガポールのAI安全性の研究機関と、AIの試験方法や事故が起きたときの対応について技術的な情報を交換する
  • 普及の後押し: 国内のAI人材の育成、中小企業のAI導入、公務員のAI活用力の向上を支える
  • 調査と政策: AIが仕事に与える影響の調査データを政府と共有し、AIのルール作りに技術面・政策面の知見を提供する
Anthropic公式発表(Ben Mann共同創業者の発言)公式発表

We founded Anthropic on the belief that capability and safety have to go hand in hand.

私たちは、能力と安全性は両立させなければならないという信念のもとでAnthropicを創業しました。

原文を読む(anthropic.com)

現地の会社や政府はClaudeをどう使っているか

発表の後半は、シンガポールでの具体的な使われ方の紹介にあてられています。数字が出ているものを並べると次のとおりです。

組織 使い方 公表された成果・規模
Grab(配車・宅配) 営業支援AI「BriX」をClaudeで動かす 営業チームの作業を四半期に約4万時間節約、新しい商談の候補も示す
GovTech Singapore(政府のIT機関) 行政システムの刷新と開発の高速化にClaude Codeを使う 1,500人超の技術者・技術職員が導入
Sea(Shopeeなどを運営) Shopeeの問い合わせ対応AIの応答を速く正確に。社員のプログラム作成にも 数千人の社員がClaudeでコードを書き、不具合を直す
DBS(東南アジア最大の銀行) ソフト開発や日々の業務に 銀行の厳しいセキュリティと管理の枠内で運用
GIC(政府系ファンド) 投資部門と管理部門に展開中 ―

国としての使われ方も目立ちます。Anthropicが利用状況をまとめている調査「Anthropic Economic Index」の最新版では、人口あたりのClaude.aiの利用でシンガポールは121カ国中2位で、人口の規模から見込まれる水準の約6倍だといいます。国のサイバー防衛を担うサイバーセキュリティー庁も、Claudeを防衛に使う方法を検討しているとしています。

背景

Anthropicとシンガポールの関係は2023年にさかのぼります。同国の情報通信メディア開発庁(IMDA)などが運営する生成AIの評価の場に参加し、その後、英語・中国語・マレー語・タミル語でAIの弱点を探す共同試験も行いました。

金融機関のように、データを国外に出せない業界向けの環境も整ってきています。アマゾンのクラウドAWSは、AI基盤サービス「Amazon Bedrock」で、Claudeの処理をシンガポール国内で完結させる仕組みを始めています(関連記事)。今回の発表も、規制の厳しい業界がこの仕組みを使えると強調しています。

Anthropicは2025年10月に東京にも拠点を開いており、アジアでの営業を広げています。上場に向けた準備も進めています(関連記事)。

論点

今回の数字はいずれもAnthropicの発表によるもので、Grabの「4万時間」がどう測られたか(何人の営業担当で、何の作業を比べたか)は示されていません。導入企業側の公式の数字ではない点は割り引いて読む必要があります。

AIの開発企業が政府と覚書を結ぶ動きは各国で増えています。安全性の試験で協力する一方、規制を作る側に開発企業の知見が入ることには、規制のあり方に企業の意向が反映されやすくなるという見方もあります。同じ国際会議では、Google DeepMindもシンガポール政府と詐欺を見抜くAIを共同開発したと発表しました(関連記事)。

日本のビジネスへの影響

  • 使えるか: Claudeは日本でも日本語で使えます。今回の覚書や拠点はシンガポール向けで、日本の制度や料金に変更はありません。
  • 誰にどう効くか: 営業部門の責任者と、社内のAI導入を進める担当者に参考になります。Grabの例は、提案資料づくりや商談候補の洗い出しといった営業の下準備をAIに任せる使い方で、規模の大きな営業組織ほど効果を出しやすい形です。行政のIT部門が1,500人規模でClaude Codeを入れた例は、自治体や大企業のシステム部門が導入を検討する際の比較材料になります。
  • 今すぐやれること: 営業チームの1週間の作業のうち、資料の下調べや議事録の整理など「AIに下書きさせられる作業」に何時間使っているかを測っておくと、導入の効果を自社の数字で比べられます。対話AIの選び方はチャットAIのガイドにまとめています。
  • 注意点: 公表された成果は開発元の発表で、自社で同じ効果が出るとは限りません。顧客情報を扱う場合は、データの保存場所や学習に使われない設定を契約で確認してください。

一次情報

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この記事の編集責任者

田中智大

AIデジマ編集長/株式会社ドイル 代表取締役

株式会社ドイル代表。元Googleで広告営業・コンサルティングに従事し500社以上を担当。広告運用とAIエージェント開発を手がける。