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Qwenを鍛え直して文章の「AIっぽさ」を消す、個人がMacBook Air1台で作って無料公開

3行でわかる

  1. 個人の開発者が、AIの文章に出やすい言い回しのクセを抑えた小型の文章AIを作り、無料で公開した
  2. 作者の採点では、クセの点数が1,000語あたり121から12.5に下がり、人が書いた文章の目安の15を下回った
  3. 学習はノートPCのMacBook Air1台で、1回1〜3時間。今は英語だけで、口調が平板になる弱点も作者が認めている

個人で開発を続けるエリック・マルクス・カニケ氏は10月、AIが書く文章に出やすい言い回しのクセを抑えた小型の文章AI「qwen3-4b-deslop」を無料で公開しました。作者が作った採点では、クセの点数が1,000語あたり121から12.5に下がり、人が書いた文章の目安とする15を下回ったとしています。学習に使ったのは手元のMacBook Air 1台です。

何を作ったのか

AIに文章を頼むと、内容は正しくても「いかにもAIが書いた」と分かる文章になりがちです。作者が数えるクセは大きく3種類あります。1つ目は「delve(掘り下げる)」「seamless(シームレスな)」のような決まった単語。2つ目は英文のダッシュ(—)の多用。3つ目は文の組み立て方で、「AではなくBだ」という言い回し、例を3つ並べる書き方、自分で問いかけてすぐ答える形、「ここが大事なのは」といった前置き、強調のための短い文の連発が当たります。

カニケ氏は中国アリババの無料公開AI「Qwen3-4B」(パソコンでも動く小型のモデル)を土台に、こうしたクセを出さないように追加で学習させました。使う人が「AIっぽく書かないで」と毎回指示しなくても、最初から素直な文章を書くのが特徴です。

100toolkit.com「Qwen3-4B with the AI writing tics trained out」公式サイト

A small open model, fine-tuned on a MacBook Air, that writes without em dashes, "not X, but Y" or lists of three and needs no system prompt, and you can run it locally with Ollama.

MacBook Airで追加学習した小さな公開モデルで、ダッシュも「XではなくY」も3つ並べも使わず、事前の指示もいらない。Ollama(パソコンでAIを動かす無料ソフト)で手元で動かせる。

原文を読む(100toolkit.com)

どう作ったのか

やり方は「お手本を見せて覚えさせる」方式です。まず、前の版のAIにクセを抑える指示や調整を加えた状態で288問の文章を書かせ、作者が作った採点ツールと内容のチェックに通った161本だけを選びました。その161本を、指示なしでも同じように書けるよう土台のモデルに覚えさせています。

学習はM2チップを積んだMacBook Airで、1回あたり1〜3時間。これを3回繰り返しました。追加した部分のファイルは126MBほどで、パソコン向けに軽くした版は約2.5GBです。利用条件は、商用でも使えるApache-2.0です。

途中の版では点数がさらに良い9.9まで下がりましたが、意見文なのに意見がない、存在しない研究をでっち上げる、文を「, which」でつなぐ新しいクセが出る、といった問題が起きました。そこで「頼まれた内容に答えているか」を確かめる選別を足し、最終版にしたと作者は説明しています。

成果

作者が40問で確かめた結果は次のとおりです(土台のモデルとの比較)。

項目 元のモデル 公開した版
クセの点数(1,000語あたり) 121 12.5
人が書いた文章と同じ水準の回答 0% 68%
ダッシュ(1,000語あたり) 20.5回 0回
3つ並べ(1,000語あたり) 17.3回 1.1回
知識・計算の問題の正答率 97% 100%

ただし、この表の数字には前提があります。点数は作者が決めたルールを機械的に数えたもので、人が読み比べて確かめる試験はまだしていません。試したのも英語の短い文章だけです。

作者は弱点も隠していません。いちばん大きいのは作り話で、存在しない研究や数字は30回に1回ほどに減ったものの、架空の人名や地名はまだよく出ます。文章の味わいの面では、口調が平板になり、個人的な話は日記のような書きぶりになります。頼んだ長さより長く書く傾向もあります。

反応

米国の技術者が集まる掲示板Hacker Newsでは100件を超えるコメントが付きました。小さなモデルでここまでできたことを評価する声がある一方、「直した後もAIが書いたと分かる」「別の新しいクセが育つだけでは」という疑問も目立ちます。ダッシュは本来正しい記号で、まったく使わないこと自体が不自然だという意見もありました。

日本のビジネスへの影響

使えるか: モデルは誰でも無料で取得でき、Ollamaを入れたMacやWindowsのパソコンで動かせます。ただし対象は英語だけで、日本語の文章は試されていません。海外向けのメールやブログの下書きを英語で作る人が試す対象です。

誰にどう効くか: 英語でSNS投稿や記事を書く広報・マーケティング担当者にとっては、AIの下書きにありがちな言い回しを直す手間が減る可能性があります。それ以上に参考になるのは作り方です。自社の「避けたい言い回し」をリストにして機械的に数え、合格した文章だけをお手本にする、という手順は日本語でも応用できます。

今すぐやれること: 社内でAIに文章を書かせているなら、まず「AIっぽい」と感じる言い回しを10個ほど書き出し、指示文に「使わない表現」として入れてみるのが手軽な一歩です。手元のパソコンでAIを動かす方法は「ローカルLLM・オープンウェイトモデルのおすすめ」に、仕事の文章作りに向くAIは「文章作成AIのおすすめ」にまとめています。個人がパソコン1台で作った別の例として、答えに自信がないと「わからない」と返す家計簿AIもあります。

注意点: クセが消えても、事実の作り話はなくなっていません。作者も作り話が出ると明記しているので、数字や固有名詞は必ず人が確かめる必要があります。小型のモデルなので、ChatGPTやClaudeのような大きなAIに比べて知識の幅も狭くなります。

一次情報

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この記事の編集責任者

田中智大

AIデジマ編集長/株式会社ドイル 代表取締役

株式会社ドイル代表。元Googleで広告営業・コンサルティングに従事し500社以上を担当。広告運用とAIエージェント開発を手がける。